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Clock(trial)

新世紀エヴァンゲリオンSS 「ツッコミを、君に」



――ガフの部屋

???「――起きて、ねぇ碇君、起きて……」

碇シンジ「………………だれ………………?」

綾波レイ(???)「私よ、綾波。綾波レイ――」

綾波「……もう何番目なのか、忘れちゃったけど」

シンジ「……綾波――綾波っ!?」 ガバッ

綾波「急に起きては――どう、なのかしら。体はないけど」

シンジ「ミサトさんはっ!?ミサトさんはどうなったのっ!?」

シンジ「アスカに父さんっ!?他の人は、今、どうなって――」

綾波「みんな、いるわ。ここに」

シンジ「ここって――ここってどこだよっ!?僕が見てきたのはなんなんだよっ!?ねぇ綾波っ!」

綾波「世界は一度終ったの。人類は全て体という殻を失い、一つになったのよ」

綾波「碇君が見てきたのは、現実」

シンジ「そんなの……そんなのって!そんなのってないだろ!?」

綾波「……碇君」

シンジ「僕や――アスカ!ミサトさん!リツコさんに加持さん!」

シンジ「トウジにケンスケ……みんなみんな、もういないっていのうかよ!?」

綾波「……うん」

シンジ「嘘だよっ!僕には綾波が何言ってるのか分からないっ!?」

綾波「……えぇ、そうね」

シンジ「母さんは?ねぇ母さんはっどこっ!?」

綾波「初号機は……まだ、あるけど」

シンジ「初号機……あぁ、そうか。僕は」

シンジ「母さんに……母さんが、守ってくれてた……」

綾波「……そうね」

シンジ「……」

綾波「……」

シンジ「……何か、何か言ってくれよ!」

綾波「私はアナタじゃないもの。碇君が欲しい言葉は、きっと碇君にしか分からないわ」

シンジ「……っ!」

綾波「それを、そう、それは――」

綾波「――あなたが全部と一つになって、体験した事でしょ……?」

シンジ「………………ごめん、綾波」

綾波「いいの。私は碇君がどれだけ傷ついたか、知っているもの」

シンジ「……僕は」

綾波「うん」

シンジ「……僕はどうすればいいのかな……?」

綾波「また、あなたは聞くのね」

シンジ「え?」

綾波「自分のお父さんがどんな人なのか、他人に聞いて回っていたように」

シンジ「……」

綾波「不安なのは分かるわ――ごめん、分からないわ」

綾波「だってアナタは私じゃないもの」

シンジ「……そう、だね」

綾波「また物わかりのいいフリをして、全てを拒絶しているの?」

シンジ「違う――と、思う。僕はそうやって自分を守ってきたけど」

シンジ「あの日、綾波に呆れられたんだろうし、多分今もそうなんだろうけど」

シンジ「でも、僕は、誰かに、聞きたいって思う」

綾波「それは、なぜ?」

シンジ「他人とは分かりあえない。それは僕が僕で、綾波が綾波だから。だよね?」

綾波「そうね」

シンジ「ATフィールドがなくても、人が人の形を失っても、僕を拒絶する意志は残っていた」

綾波「……そう、ね」

シンジ「僕は僕が嫌いだし、他人なんてもっと嫌いだ」

綾波「……」

シンジ「でも、だからこそ――知りたい、って思う」

綾波「……嫌いなのに?」

シンジ「嫌いだから、余計に」

シンジ「トウジ――僕がエヴァに乗った事で妹さんが傷ついたんだ」

シンジ「僕はトウジに呼び出されて殴られた。『なんでこんな目に』って嫌になった……」

綾波「……碇君は悪くないわ――って言った方がいいのかしら」

シンジ「悪い、悪くないで言えば……今も分からないよ。割り切って良い事なのか、悪い事なのかも」

シンジ「でもその後、トウジ達は僕がどんな思いでエヴァに乗ってるのかって、分かってくれて」

シンジ「……本当に意味で分かってくれたのか分からないけど、理解はしてくれた」

シンジ「”理解しよう”って、思ってくれたんだ」

綾波「”しよう”?」

シンジ「……うん。まず、そこから始まりなんだと思う」

シンジ「他人を受け入れずに、受け入れられずに、自分の殻へ籠って怠惰に生きるのは辛くて――でも、簡単で」

シンジ「人と繋がりを持ちたかったら、まず、聞こうとしなくちゃいけないだ。綾波」

綾波「……」

シンジ「綾波にとって……父さんが直ぐ近くに居た人にとって、僕の行為は軽蔑に値するかもしれない。呆れるだけ、かも」

シンジ「でも聞かないと分からない。それは誰でも――」

シンジ「――自分じゃない”誰か”を知るのって、そういう事だと思う」

綾波「……」

シンジ「……」

綾波「……碇指令は」

シンジ「父さんは?」

綾波「私じゃなくて、私を通じて他の誰を見ていた。それだけ」

シンジ「……そっか」

綾波「だから……碇君が羨ましかったのかもしれない」

シンジ「……僕が?」

綾波「……うん、多分」

シンジ「僕は綾波が羨ましかったけど……」

綾波「……そう、こういうことなのね」

シンジ「うん?なにが?」

綾波「”聞かなきゃ”分からないって」

シンジ「そう、だね。うん。そうだ」

綾波「碇君はこの後、どうするつもりなの?」

シンジ「どうって……ていうか、この後?世界が終って二人だけになったのに、まだこの後に何かあるの?」

綾波「ないわ、何も」

シンジ「……だよね。そんな気はしてた」

綾波「でも碇君が始めたいんだったら、できる、かもしれないわ」

シンジ「始める?何を?」

綾波「始まりのエヴァ初号機、そして世界を覆い尽くすLCLの海があれば――」

綾波「――もう一度、世界をやり直す事は、できると思う」



――ガフの部屋

シンジ「本当にっ!?本当なの綾波っ!?またミサトさんやアスカに会えるのっ!?」

綾波「えぇ。LCLに流れている記憶で体を創って、エヴァを使えば、だけど」

シンジ「……そっか……!」

綾波「……でも碇君。やり直しても、どうするの?」

シンジ「え?」

綾波「全てをやり直すんだったら、使徒も含めてしなきゃいけないだろうし」

綾波「碇君が基点になるんだったら、碇君が生まれるよりも前に巻き戻すのは不可能だわ」

シンジ「僕が、基点に?」

綾波「えぇ。記憶を持ったままじゃないと、やり直しは出来ないでしょ?」

綾波「……じゃないと、同じ過ちを繰り返すだけだわ」

シンジ「そっか……じゃあ、ミサトさんのお父さんを助けたり、母さんの事故を止めたりは……?」

綾波「前者は碇君が生まれていないし、後者は赤ん坊の碇君にはどうしようもないもの」

シンジ「……そんなのって!」

綾波「だから、世界を大きく変えたいんだったらエヴァに乗る所からやり直すしかないわ」

シンジ「僕が……世界を救う?」

綾波「うん」

シンジ「……でも、どうやって?エヴァに乗って全ての使徒を倒しても、結局は他の人類が敵に回るし……」

シンジ「二号機や初号機を倒したのは量産型のエヴァなんでしょ……?」

綾波「そうね」

シンジ「……ダメだ。僕には分からない」

綾波「碇君には……難しいかも知れないわ」

シンジ「綾波は――綾波は知っているの!?」

綾波「えぇ」

シンジ「だったら綾波も――そうだよ!綾波が一緒に行けばでるきじゃないか!」

シンジ「父さんともちゃんと話が出来るし!事前に分かっていれば!」

綾波「……ごめんなさい。私には無理なの、どうしても」

シンジ「……なんで?」

綾波「どうしても。碇君の頼みでも」

シンジ「……そっか。だったら――」

シンジ「――僕に、僕に教えてくれないかな?」

綾波「碇君?」

シンジ「僕だって一応男だし……頑張るって決めたんだよ」

綾波「……そう、強いのね」

シンジ「だから綾波、どうやって世界を救えばいいのか。教えてくれないかな?」

綾波「いいわ。教えるだけだったら」

シンジ「ありがとう、綾波」

綾波「それはね」

シンジ「うんっ!」

綾波「”ツッコミ”よ」

シンジ「………………うん?」

綾波「聞こえなかったかしら?”ツッコミ”よ」

シンジ「いや聞こえたよ、聞こえたけどさ……えっと”ツッコミ”?ツッコミって言った今?」

綾波「えぇ言ったわ」

シンジ「ツッコミ……あぁそうか。ロンギヌスの槍的なものを武器として使え、って意味かな?」

綾波「いいえ碇君。ロンギヌスの槍は関係ないわ、ただの、ツッコミよ」

シンジ「……綾波?」

綾波「じゃちょっと見てみましょうか」

ホワンホワンホワンホワン

シンジ「ねぇ綾波?今コントでよくある回想シーン用のSEが聞こえたんだけど?」

綾波「しっ、碇君!今は黙って画面を見て!」

シンジ「画面……いやあの、スクリーン的なのは写ってるけど……」

シンジ「ていうかケンスケ、だよね?雑誌コーナーで何やってるんだろ……」

ケンスケ ササッ

シンジ「――あ、ジャケットの中に雑誌入れたっ!?」

ケンスケ スッ

シンジ「しかもそのまま外に出ようとしてる!?ケンスケ!ダメだよケンスケ!」

店員『あ、ちょっと君いいかな?』

シンジ「ほら捕まってるし!だってさっきか成人用コーナー行ったり来たりしてたから不自然だったんだよ!」

ケンスケ『ちょっ!?止めて下さいよ!何したって言うんですか!?』

店員『いいから!こっち来なさい!』

ファンファンファンファンファン

シンジ「ケンスケが連行されていくよ……」

綾波「――と、分かったかしら?」

シンジ「分からない!僕には綾波が何を言いたいのか分からないよ!」

綾波「じゃ続いて次の映像を見て」

シンジ「う、うん……僕の質問はスルーするんだね?」

ホワンホワンホワンホワン

ケンスケ『……』

シンジ「あ、またコンビニでケンスケが立ち読みしてる」

綾波「しっ!碇君静かに!」

シンジ「な、なに?」

綾波「いいから」

シンジ「うん……?」

綾波「……」

シンジ「……」

綾波「……ねぇ碇君」

シンジ「うん?」

綾波「本当に静かにしてどうするの?」

シンジ「分からないよ!?僕には綾波がどんなリアクションを求めているのか分からないよっ!?」

綾波「見て碇君、モブが動き出すわ」

シンジ「あ、本当だ、ケンスケがまたゼロ×を手に取って不審な動きをしてるよ!」

シンジ「……ていうか今、綾波?ケンスケの事モブ呼ばわりしなかった?扱い酷いよね?」

綾波「代わりはいるもの」

シンジ「それ『私が死んでも』を着けないと、ただのイジメだよね?どうして綾波はグイグイ来るの?」

綾波「碇君、モブがまた雑誌を――」

シンジ「ダメだよケンスケ!そんな事しちゃ駄目だ!」

ケンスケ キョロキョロ

シンジ「そのまま外に――」

トウジ『――ってなんでやねーん!』

トウジ『アホかっ!?カネ払わんかったら強盗やんけー!』

ケンスケ『ってそれキミ窃盗の間違いでんがなー!』

トウジ『あんたととはやってられへんわ』

トウジ・ケンスケ『『ありがとうございましたー』』

チャンチャカチャッチャーチャンチャカチャッチャー……

シンジ「……」

綾波「……」

シンジ「……ねぇ綾波、本格的に綾波が何を言いたいのか分からないんだけど……?」

綾波「碇君、わたし言ったわよね。世界を救うには――”ツッコミ”だって」

シンジ「いやでも、今のコッテコテの茶番見せられても、うん」

綾波「見たでしょ碇君。モブAに訪れる筈だった悲劇、それを二回目の世界では見事に回避したの」

綾波「見事に”ツッコミ”を入れる事によって、ね」

シンジ「回避できたかな?これオチの後は二人して店員に通報されてるよね?」

綾波「……碇君、不思議に思わなかった?」

シンジ「な、なにがだよ」

綾波「初対面の人間が気持ち悪いぐらい馴れ馴れしかったとか、心当たりないかしら?」

シンジ「ある、けど。カヲルくんとか」

綾波「いきなりオバ――アラサーのオバ――ゴニョゴニョ、と売れし恥ずかし同棲性格を送ったり」

シンジ「綾波?綾波はもしかしてミサトさんの事嫌いなのかな?」

綾波「他にもいい歳してヒゲ生やしてグラサンかけた気持ち悪い中年に絡まれたりとか」

シンジ「父さんだよね?綾波の狭くて深い交友関係の中で、それに当て嵌まるのって父さんしかいないよね?」

綾波「……気持ち悪い」

シンジ「ねぇ綾波?今このタイミングで言う事かな?」

綾波「……いい歳してエヴァとか気持ち悪い……」

シンジ「それかなりの数を敵に回してるからね?人の事言えてないし」

綾波「碇君は、あの時もこの時も、”ツッコミ”を入れていれば対応が変ったのよ」

シンジ「あぁうん、そう、かもね?でもそれと世界を救うのにどんな関係が?」

綾波「えっ?」

シンジ「えっ?」

綾波「……」

シンジ「……」

綾波「――はい、っていう訳で碇君は世界を救いなさい」

シンジ「”っていう訳で”って!」

綾波「ほら、それ」

シンジ「なんだよっ!?綾波はさっきから分からない事ばっかり!」

綾波「碇君、ツッコミが上手になってるわ」

シンジ「あ――言われてみれば!」

綾波「わたしが無理してボケたお陰よ、碇君」

シンジ「……そっか。綾波は僕のためにわざと変な事をしていたんだね、ありがとう」

綾波「……気持ち悪い」

シンジ「綾波はアレなの?僕の心を折りに来ているの?だったら成功してるよ、かなりダメージ受けてるからね」

綾波「自遊空○のエヴァコラボキャンペーンの売り上げが最下位だったくせに……」

シンジ「あれは無理だよ!だってアスカ達の商品が終った後に僕だもの!誰が買うんだよ!」

綾波「ぬるぬるべたべたなめくじ野郎、とか?」

シンジ「僕は綾波が何を言ってるのか分からない、分からんないんだけど……カヲル君の悪口は良くないと思うな」

綾波「碇指令の悪口は許さない……っ」

シンジ「うん、あのね綾波?父さんは僕のキャラグッズだけは買わないと思う。ていうか買ってたら普通に気持ち悪い」

シンジ「綾波のは嬉々として買いそうな気がするけど、僕のは何があっても無理っぽい」

綾波「あなたにキスしようとしていたおはガー○だっているのよ?」

シンジ「加持さんね?中の人は、知らない」

綾波「碇君、現実を見ないと」

シンジ「だからその現実を今から変えようって話をさ」

綾波「ヒゲ野郎は赤木親子に何をしたのか知っているの!?」

シンジ「台無しだよ!その話さえなきゃ『あ、父さんは母さんに一途だったんだな』ってちょっと浸れるのに!台無しだよ父さん!」

綾波「そのDNAが碇君に流れてるのよ、分かるかしら?」

シンジ「それ、遠回しに『死ね』って言ってるの?」

綾波「……ごめんなさい、こんな時どんな顔をしたいいいのか分からないの」

シンジ「(人のダメ親父を)笑えばいいと思うよ?」

シンジ「ていうかやっぱり綾波にとってもストレスだったんだ、父さんは」



――ガフの部屋

綾波「――という訳で碇君にはツッコミの練習をして貰うわ」

シンジ「……その設定、僕まだ納得してないんだけどな……」

綾波「そうね、碇君。碇君はツッコミはなんだと思っているの?」

シンジ「またフワっとした質問だけど……ツッコミはツッコミじゃないの?」

シンジ「お笑い芸人さんでコンビを組んでる人が、ボケとツッコミの役割分担をするぐらいしか」

赤木「無様ね」

綾波「駄目よ碇君、その認識じゃとても世界は救えないわ」

シンジ「ねぇ綾波?今誰か居なかったかな?」

シンジ「真っ白な部屋に二人っきりの筈なのにニコ・ロビ○の声が聞こえたような気がするんだけど……」

綾波「何言ってるの碇君。人類はぼっちを除いて全てLSLの海へ還ったわ」

シンジ「そ、そうだよねっ!オバケとかじゃないよねっ!」

シンジ「……で、ドサクサに紛れてぼっちって言ったかな?ぼっちって?」

シンジ「それは僕がぼっちだって事?それともここじゃないどこかにもう一人ぐらい生き残りがいるのかな?」

綾波「ツッコミ、上手くなったわね」

シンジ「……!?本当だ!僕も知らない間に!」

綾波「……」

シンジ「綾波?」

綾波「こんな時、どんな顔したら良いのか分からないの」

シンジ「えっ!?それはつまり僕の成長を喜んではくれないって話なのかなっ!?」

綾波「――と、分かったかしら?」

シンジ「今ので分かったら、それはそれで病んでいる人だと思うな」

綾波「お笑いにはパターンがあるのよ、碇君」

シンジ「パターンって……?」

綾波「ダウンタウ○の松○さん曰く、『ボケ三原則』では三種類のツッコミさえ心得ていれば、なんとか捌けるそうよ」

シンジ「お笑い界のトップの人と僕を同レベルで語るのはどうかと……」

綾波「それは――」 キュッキュッ

――ツッコミ三原則
・なんでやねん!
・どないえねん!
・待て待て待て待て!

シンジ「あー……どっからホワイトボード出したのか、とか突っ込むの面倒だからしないけど、言いたい事は分かる」

シンジ「ていうか綾波、あの人リスペクトしてたんだ」

綾波「ちなみにラジオだと別のパターンもあるの」

シンジ「名……うん、どんなの?」

――高○式イエスマンベーシック
・そやんなぁ
・ホンマやでぇ
・やっぱ松○さんは流石やでぇ

綾波「これだけ抑えていれば構成作家として大成出来るわ」

シンジ「悪意あるよね、これ?リスペクトもしてなかったよね?」

綾波「B級映画ファンには溜まらない魅力があるのよ、彼」

絹旗「ちなみにB級映画ファンの間では松本神()と超愛されています」

シンジ「ていうかツッコミ三原則……分かる、けど。けどさ」

綾波「なに?」

シンジ「別にこの文言だけ憶えておいても、素人が真似したら文化祭でスベりまくってる高校生、みたいにならないかな?」

綾波「大丈夫、あなたはわたしか守るから」

シンジ「あのさ、綾波?キャラ設定掘り下げるのが面倒なのはわかるけど、原作の台詞棒読みすれば良いってもんじゃないと思うよ?」

綾波「と、いうようにボケにもあるのよ。今わたしが言ったみたいに」

・こんな時、どんな顔したらいいのか分からないの
・大丈夫、あなたはわたしが守るから
・艦こ○の綾波じゃないもの

シンジ「最後違うよね?原作でそんなシーンなかったよね?」

シンジ「世代的にエヴァが流行る前は軍ヲタにしか綾波は認知されてなかっけど、今は今で艦○れしか知らない人が多いよね」

綾波「そう、良かったわね」

シンジ「良くないし、意味が分からないよ!」

綾波「ちなみにシンジ君にもあるわ。この黄金パターンが」

シンジ「何かもう新世紀アニメなのに昭和の響きなんだけど……あるの?僕にも?」

綾波「えぇ。だからもし、ツッコミに迷う時があったらこれだけ忘れなければ、きっと戦えと思うの」

シンジ「ツッコミで使徒は倒せないと思うけど……うん、で、なんて?」

・逃げちゃダメだ
・逃げちゃダメだ
・逃げちゃダメだ

シンジ「実質一択だよっ!?確かに有名ではあるし、今でもネタにされるけどさ!」

シンジ「ていうか僕だってもっと頑張ってたよ!もっと名台詞とかピックアップされてもいいと思うな!」

綾波「決まりね。それじゃやってみましょう」

シンジ「綾波はすぐそれだ!父さんばりにスルーするの上手いよねっ!」

綾波「今からわたしがボケるから、碇君はツッコんでほしいの。いいわね?」

シンジ「……いいけど。台詞が一個しかないのに……」

シンジ「ていうか世界再生するの僕?アスカに任せた方がきっと上手く行くんじゃないの?」

綾波「――碇君のバカっ!」 ペチッ

シンジ「痛っ!?……くはないけど、綾波っ!?」

綾波「……」

シンジ「……」

綾波「こんな時、どんな顔したらいいのか分からないの」

シンジ「ねぇそれただ意味も無く僕に暴力振るいたかったって言ってるよね?ねぇっ!?」

綾波「パチン×の規制が厳しくなって、イベントに声優呼ばれるのも厳しくなるのよ……っ!」

シンジ「綾波、もしかしてアスカの中の人Disってないかな?『もうパチン×の営業しか残ってねぇな』みたいな?」

綾波「今でもたまにアフレコで顔合わせてるけど工○君?」

シンジ「ねぇ綾波、綾波はどうしてそんなに無敵なの?何言ってるのか分からないけどさ、そのアフレコって毛○のおっちゃんがアレしたアレだよね?」

シンジ「どっちかって言えばお姉様方のファンが多いコナ○君ですら、人気投票第一位に選ばれるのってどんだけ力強いの?」

綾波「碇君、ツッコミを忘れているわ」

シンジ「いやもうツッコミを入れる前に、綾波が躁鬱病かなんかじゃないかって不安になるよ……!」

綾波「逃げちゃダメよ、碇君」

シンジ「僕が使う方なのにっ!?ていうか逃げてすらいない!いないよミサトさぁんっ!」

綾波「『嫌ならここから出て行きなさい!』」

シンジ「あぁミサトさんの台詞……『逃げちゃダメだ!』」

綾波「『あなたの息子を信じて下さい!』」

シンジ「『に、逃げちゃダメだ!』」

綾波「『行きなさいシンジ君!』」

シンジ「『逃げちゃダメだ!』――って綾波、ちょっといいかな?」

綾波「なに?」

シンジ「一位回目のはさ、僕がエヴァに乗りたくないって言い出した時のだよね?それはいいと思うんだけどさ」

シンジ「二回目の所はミサトさんが父さんに言った時の台詞だよね?まぁそれもいいよ、それは」

シンジ「でも三回目のは劇場版『破』で、サードインパクト直前にミサトさんが行けって言ってくれた時の話だよね?」

シンジ「次に目が覚めてみれば、なんか全部僕の失敗っぽくなってるし、管理責任はどうなの?ミサトさん行けって言ってくれたよね?」

シンジ「責任は勿論僕にもあると思うけど、少なくとも上司の人が行きなさいって言ってるんだから、その、割合がね」

シンジ「つまりバイトが皿割って全弁償させられるのと同じだよね?」

綾波「……葛城三佐、良い人だったわよね」

シンジ「故人みたいに言われても……あぁ僕たちしかいないんだっけ」

綾波「でも自分の歳の半分ぐらいの子に、エロい事しようとするのはどうかと思うわ」

シンジ「その原因の9割は綾波にあるから!二番目の綾波に助けてもらったのは事実だと思うけどさ!」

シンジ「ていうか基本ネルフにはまともな大人がいないし!僕が不安定になるのも仕方がないと思うんだ!」

シンジ「冬月さんに呼ばれて行ってみれば『将棋しようぜ!』なんて、向こうの要求するレベルが高すぎる!」

綾波「そもそもの話、冬月副司令が碇指令へ『あ、ユイ君エヴァ乗りたいって言ってたけど、いいの?』」

綾波「――って言えばあの最低ネクラグラサン野郎は止めてたし、少なくとも碇君は補完計画に関わらなくて済んだかも知れないわ」

綾波「そもそもあのキモヒゲグラサンを重用しなければならないほど、ぜーレは人手不足だったわけだし。約2000年近く」

上条「大人って!」

綾波「碇君……」

シンジ「な、なんだよ……!」

綾波「ツッコミを忘れてるわ」

シンジ「ごめん綾波。やっぱり僕には世界を救えそうにないや」



――ガフの部屋

綾波「碇君が順調に育ってくれて嬉しいわ」

シンジ「綾波、なんかもう面倒になって無理矢理話進めようとしてない?ねぇ?さっきから10分も経ってないし?」

シンジ「ていうか僕には世界を救うようなツッコミは難しいし、さつきも言ったけどアスカにして貰った方がいいんじゃないかな?」

綾波「あの子は……ダメよ」

シンジ「なんでさ。アスカの方が行動力はあるし、承認欲求……って言い方は良くないけど、僕なんかよりももっと上手く行くと思う」

綾波「山ちゃ○とエロ同人みたいになるわよ?」

シンジ「それ中の人。ていうか綾波の口からエロ同人なんて聞きたくなかったよ!」

綾波「世界を自由に改変出来るのだから、好きな男の人を振り向かせたい。きっと彼女はそう願うはず……でも」

綾波「それで救われるのは彼女だけ、世界は救われないわ」

シンジ「アスカが幸せになるんだったら……それもいいと思うんだけど」

綾波「否定はしないわ。碇君がそう望むんだったら、そんな世界を作れば」

シンジ「いいの?」

綾波「『自分の半分ぐらい年齢の少女に淫らな行為をした男性(30)』、という一生消えない罪を負わせたいぐらい、あの人が嫌いなら別に」

シンジ「綾波、そこは、こう、うんっ!もっとフワっとした言い方でいいと思うよ!加持さんは紳士だから!そんな事しないから!」

シンジ「確かに社会的な立場を全部失うし、下手すればミサトさん自らが消しにかかるけど!加持さんは大人だから、もっと上手い方法でなんとかするし!」

シンジ「きっとアレだよ!アスカの気持ちを受け止めつつ、適齢期になるまで清い交際を続けると思う!」

綾波「ねぇ碇君、こんな話を知ってるかしら?」

シンジ「な、なんだよ」

綾波「山ち○んと田中理○さんの年の差は”18”よ」

シンジ「分からない!僕には綾波が何を言ってるのか分からないよぉっ!」

シンジ「加持さんとアスカが16歳差だけど、そこはほら別に大人同士だからツッコんじゃいいけないって思うし!」

綾波「キャラ的に高校で壮絶なイジメを受けそうよね。わたしも人の事は言えないけど」

シンジ「それ言ったら僕だって、親父さんの家や前の学校では……うん。ていうか里親がさ」

シンジ「……あれ?これもしかして世界救っても、僕たちは幸せになれないってフラグなのかな?」

綾波「考えちゃダメよ、感じないと」

シンジ「むしろ綾波は僕の心を折りに来てるからね?積極的に潰しに来てるから注意してね?」

綾波「――と、いう碇君のためにシミュレーションをしてみようと思うの」

シンジ「今更……いや、するけど」

綾波「今から原作であったシーンをその世界や人物もろとも再構成するわ。その中で碇君は世界を変えてみて」

シンジ「僕に……できるかな?」

綾波「頑張って碇君、わたしはあなたの味方よ?」

シンジ「……やってみるよ!」

綾波「じゃまず、碇君が昏睡した二号機のパイロットのお見舞いに――」

シンジ「――待って?ていうか待って、ね?」

綾波「どうしたの碇君?」

シンジ「その、言いにくいんだけど、このシーンはちょっと思い出したくないかなぁって」

綾波「よりにもよって劇場版で、これ以上ないほど碇君の恥を晒したシーンなのに?」

シンジ「……ねぇ綾波は僕の事が嫌いなんだよね?だからこう、終った世界で僕をイジって遊んでるんだよね……?」

綾波「あなたは死なないわ」

シンジ「うん、一見いい言葉っぽいけども、この謎の白いだけの部屋で言われると『わたしが飽きるまでは』みたいな意味なんだよね?」

シンジ「ていうかもう、いっそひと思いに!とか、割と思うんだけど」

綾波「――じゃ最初のシーンは葛木少佐……じゃなかった、当時は一尉が碇君を迎えに来るシーンで」

シンジ「あぁネルフに来た時の話か。懐かしいな……」

ホワンホワンホワンホワン……

シンジ「いやだから綾波?SEがドリ○のコントぽっいのはなんとかならないの?」

綾波「しっ!演者が舞台に立った以上、それはもう役以外の事を考えてはダメよ!」

シンジ「そんな飲み屋でくだを巻く自称劇団員さんみたいな演劇論語られても……」

葛木『――紹介が送れたわね、あたしは葛木ミサト!加持探偵事務所の共同経営者よ!』

シンジ「綾波これ違う!僕の居たい世界じゃないよ!」

綾波「なに?」

シンジ「これ確かエヴァでスタン○モノやろうとして二巻で打ち切りなったアレだ!碇シンジ探偵日記ってお話だよ!」

シンジ「ASUKAファンタジ○って少女漫画の分野にもエヴァを広げようしたんだろうけど、無理があると思うなっ!」

綾波「そう。碇君は育成計○の方が良かった?」

シンジ「良いか悪いかで言えば、命の危険性が『後ろから包丁で刺される』以外にはない、育成○画の方がマシだけど……」

シンジ「でもあれエヴァ……『スタ○ドエヴァ』にすら出ていたエヴァが出て来ない……!」

綾波「ま、碇君の日常が薄い本みたいだったしね」

シンジ「あのさ綾波?言っとくけどね、僕の中での異性への評価は散々だからね?」

シンジ「ミサトさんには『年上の女性』って幻想をぶち壊されて、アスカはアスカで最初から眼中にない感じでアレだし」

上条「――その『幻想』を俺がぶち殺す――!」

シンジ「しかもどっちも好きな人が加持さんだし、14歳の少年がどうしろって?――って今、なんかノイズ入らなかった?」

シンジ「ていうかさっきからここには居ないはずの人の声がするような」

綾波「そこは……やっぱり主人公補正で?」

シンジ「むしろ逆に聞くけど、父親の部下の人にお世話になっているのに、スケベ根性出せると思う?」

シンジ「そしてアスカには……ちょっと、まぁ、アレだけど!泣いている子や、他の人が好きだって公言してる人に、何かする気はないよ」

シンジ「……」

綾波「……碇君?」

シンジ「……そもそも自分の事すら精一杯なのに、彼女以前に好きな人とかね、もう……」

綾波「……ごめんなさい。変なスイッチ踏んじゃったかしら」

シンジ「……ごめんよ綾波。僕は――」

綾波「――まぁ、それは自己解決してもらって、次ね」

シンジ「自己解決して!?押しが強い!強すぎるよ綾波!」

綾波「シーンは陸自がネルフ本部に突入する所から始めるわ」

シンジ「詰んでる!それもう詰んでるよ!立て直しようがないよ!」

シンジ「仮にあるとしてもツッコミで何とか出来るんだったら、最初から武器持って攻めてきてない!」

綾波「勇気を出して碇君!そんなんじゃ世界は救えないわ!」

シンジ「逃げちゃダメだとは言ったけども、時には逃げなきゃダメと思うな。うん」

綾波「碇君が逃げても人類補完計画は続いたと思うわよ」



――ガフの部屋

シンジ「っていうかさ、人類補完計画をどうにかするんだったら、僕がエヴァに乗らなかったら――は、ダメか」

シンジ「僕じゃなくてもアスカ……か、トウジか。どっちにしろロクでもないけど」

綾波「碇ユイさんの魂が入っているのは初号機だけだけど、ぜーレにとって手段の一つに過ぎないわ」

シンジ「……っていうか僕以外のLCLの海へ還したのは綾波だし、実質的な補完計画は綾波一人で出来たんじゃないかな?」

綾波「人類滅ぼした業を背負わせるのはやめて」

シンジ「あれだけの大災害引き起こして、滅んだのが人類だけとはとても信じられないんだけど……」

シンジ「――あ、そうだ!だったらエヴァシリーズを全部無くせばいいんじゃないかなっ!?」

綾波「それは無理よ。だってエヴァ――というか、リリスが居なかったら人類は生まれなかったもの」

シンジ「あぁそうか。ミサトさんが言ってたっけ」

綾波「そう、だからゴジ○も庵○から生まれたの」

シンジ「綾波それ父さんにキャラ被ってる人だよ?特撮作りたかったんだなぁ、とは思うけど」

綾波「ナレーターとして駆り出される身にもなってほしいわ」

シンジ「……ゴ○ラ撮ってる暇あるんだったら、続編をねー。僕が酷い目に遭うだけだろうけど」

綾波「……あなたはそうやつていつもいつも碇指令を悪く言っているの?」

シンジ「いやでも事実だし、漫画版の扱いなんて最後にちょろっとそれっぽい事言って終っただけだよ?」

綾波「母娘揃って愛人にしたヒゲなのに!赤木博士の思いを踏みにじらないで!」

シンジ「うん、そのヒゲの息子が目の前に居るって事を、綾波はまず考慮してほしいかなって思うよ」

シンジ「あと不用意な事を言って一線を越えさせのは、君の前の前の人だよね?ていうかあれ、言う必要あったの?」

綾波「わたしもそう思わないでもないけど、一桁(ぐらい)の女の子へ愛人を愚痴る司令もどうかと思うわ」

シンジ「……そっか!父さんの子供としては、僕も真っ直ぐ育った方だよねっ!」

綾波「手元へ置いておいた方が確実に病んだと思うわ。肉体的にも精神的にも」

シンジ「……まぁ男女関係は色々あると思うけど、ミサトさんと加持さんがよりを戻した後のアスカが荒れる荒れる」

シンジ「エヴァのパイロットなのに、そこらのメンタル的なあれこれは考慮してもらえなかったよね……!」

綾波「今にして思えば碇君を主パイロットにするため、ヒゲと山○ゃんが意図的にしていた可能性もあるわ」

シンジ「うん、そうだね。面倒だからもうツッコまないよ!」



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