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Clock(trial)

レッサー緊急謝罪会見 〜みんな大好きフランス〜 -ド・ゴール主義と中二病-

 
上条「えー、ご来場の皆様、ただいまよりレッサー緊急記者会見を開くに当たっての注意事項を述べさせて頂きます」

上条「本会見中、勢い余って多少言が過ぎてしまったり、些かばかり度を超す場合もあるかもしれません」

上条「しかしながら決して!そう決してレッサーさんご本人へ対する暴力はいけません!絶対に!」

上条「皆様のお手元には古今東西より古刀・新刀を数振り用意されておりますが、決してお手にとってはいけません!」

上条「投げつけるのは元より誤チェストなどは以ての外!どうか気軽にKANI-KAZEなどなされませんよう再度お願い致します!」

上条「なお誤ってお手を切らぬよう、事前にポリカーボネイト製の上着と手袋を装備するようおすすめ致します!」
(※ポリカーボネイト=人工の対刃対弾素材。稼働するチェーンソウの刃に触ってもまず怪我しない)

上条「では本日の主役!レッサーさんの入場です!皆様温かい拍手でお迎えください!」

デデデッデデデッ、デレッデデデー

レッサー「『――こんな醜い顔をして恥ずかしくないのか』」
(※著作権;ウスマン・デンベレ)

上条「おいやめろ!まぁそういう主旨の企画だけど名前ぐらいは隠せ隠せ!」

レッサー「この時事ネタをぶっ込まないでいつぶっ込むというのでしょうか……ッ!?」

上条「まぁそうだけども。そういう主旨の企画だけどさ」

レッサー「今でしょ!?」

上条「林先○も気がついたら残ったよな。そしてそれは今言うタイミングじゃねぇよ」

レッサー「まさかこの悪ふざけがシリーズ化しようとは夢にも思いませんでした!何やってんでしょうねゴー○さん!」

上条「そろそろ暴徒に狩られないといいけどな。レバノンどうなってんの?」

レッサー「先月の感染者が約4,400人、亡くなられた方が120人ぐらいですね。ただし人口700万人ぐらいで、とは言っておきますが」

レッサー「あ!そういえば日本さんはどうだったんですかね!?緊急事態宣言を四回もテンドンした日本さんは一体!?」
(※日本の6月の新規感染者約53,000、死者1,700)

レッサー「ちなみに我らがイギリスは約31万人ご新規さんが出て亡くなった方は359人でしたけどねっ!」
(※6月一ヶ月だけの数字)

上条「お前の所の数字が極端過ぎてコメント出来ねぇよ。感染した人の数聞くと『えっ?』って思うけど、亡くなった人の数字は『ワクチンって効くんだなぁ』と」

レッサー「欧州サッカー選手権でしたからね!イタリア野郎が優勝しやがりましたが、それを除けばオールオッケー的な!」

上条「正直、今の東京でウェーイしてんのも選ばれしアホだと思うけど、お前らもお前らでどうかしてねぇか?359人って少ないは少ないけどサッカーやってる場合か?」

レッサー「おぉっと浮かれてオリンピックやろうだなんて国に言われたかねーですな!個人的にはラクロス超楽しみですけど!」

上条「えーっと、アレだな。お前の戦闘力は480万、SPは12万だな」
(※2021年6月30日時点)

レッサー「何の数ですか?ドラゴンボー○だったらフリー○様超えて嬉しいっちゃ嬉しいですけど」

上条「流石はイギリスさんだなー!日本たかだか80万パワー!SPに至っては1.4万だからなー!」
(※2021年6月30日時点)

レッサー「何か知らないけど圧倒的じゃないですか我が国は!ダフルスコアならぬヘクサスコアで超大勝ちですな!」

上条「そうだなー。俺も始めてこの話聞いたとき、『あぁやっぱり敵わないよなぁ』って思ったよ」

レッサー「そうでしょうそうでしょうとも!で、なんの数字なんです?」

上条「うん、新型コロナに感染した人と亡くなった人の実数」
(※イギリス=感染者4,817,298・死者128,404。日本=感染者800,305・死者14,730。出典ジョンズ・ホプキンズ大学の配布しているデータより)

レッサー「やっっっっっっっっっっっっっっっぱりですかドチクショウ!『あれこれ私の知ってる数字だな?』とは思ったんですよコノヤロー!」

上条「じゃあ気づいてただろ。気づいた上で乗っかってきただけじゃねぇか」

レッサー「しかしこの数字は正しく反映していませんよ!調子に乗らないでくださいねっ!?」

上条「おっ、やんのかテメー。データが間違ってるとか場外乱闘するつもりかコラ」

レッサー「よく考えてみてくださいよ上条さん!イギリスとヤポンでは人口が違うじゃないですか?」

上条「そりゃそうだろ。それがどうしたよ?」

レッサー「例えばA国B国があったとして、それぞれの感染者が100人と1万人だとしましょうか。一見B国の方が酷いように見えますよね?」

上条「まぁそうな」

レッサー「しかしそれぞれの国の人口を見れば!A国では全人口1万人なので100人に一人が感染したことになります!」

レッサー「ですがB国の人口は1千万人!感染者が一万人いたとしても割合で言えば1,000人に一人!B国の方が被害は軽い!」

上条「だな。あぁだからイギリスと日本も一概に比較は出来ないってか?」

レッサー「そうですよ!日本の人口は1.26億人、対してイギリスの人口は6,600万人!つまり――」

レッサー「――人口比で考えればイギリスの数字は倍になると考えてください……ッ!!!」

上条「よりダメになっただけだよ。傷口広げただけの無駄な時間を返せよ」

レッサー「クックックック……今は調子ぶっこいているがいいでしょう……!このペースで行けば日本の数字が我らがイギリスよりも酷い事になるのですから……!」」

上条「このまま行けばそうなんだろうが。具体的な期間は?」

レッサー「えーっとですね、日本が新規感染者が月ペースで15万人、亡くなられた方が2千人。かつイギリスがどっちもゼロと仮定して――」

レッサー「――なんと!感染者ではたった26ヶ月!もう一つの数字では57ヶ月もあれば追い抜く計算に……!」
(※日本の数字が最悪、かつイギリスがゼロベースでの試算。人口比だとこの倍かかる)

上条「あぁうん、何かゴメンな?俺が悪かったらこれ以上自分を傷つけるのやめろよ。俺が悪かったからマジで」

レッサー「……くっ!フランス人の悪口言えると聞いてやってきたのにこの仕打ち!帰りますよマジで!帰ってエクス・アー○でも見ます!」

上条「あれ発売されたんだったけ……?あまりにも興味無いし告知もしなくなったから、ダメ映画好きな人以外にはノーヒットだと思う」

レッサー「私がモデリングした女体の方がまだエロいですな!」

上条「違うわ。ある意味これ以上ない真理と言えなくもないが、えっと、常識的な視点からは否定しておくわ」

レッサー「あれぶっちゃけエ×いシーンだけ手書きセルだったら文句は出て来なかった思うんですよね」

上条「違うわ。『まぁそうだよな!』って台詞が出かかったけども良識的な観点からは否定しておくわ」

レッサー「それはそれでオイシイっちゃオイシイですが――さて!華麗に我らが大英帝国が世界に勝利したところで話を進めましょうか!」

レッサー「これからはマジ話ですから!笑うんだったらここまでですよ!あとは乾いた荒野のような笑いしか出て来ませんのでね!」

上条「お前がそう言うんだったらそれでいいが」

レッサー「それでえーっと今日は何をお話ししましょうか?大英帝国黒歴史数え歌をご所望なら三日三晩歌い続ける自信がありますけど!」

上条「三日三晩だけで足りるかな……一ヶ月ぐらいホール貸し切らないと」

レッサー「言うじゃないですかコノヤロー。中々我々の生態を熟知してやがりますね!」

上条「慣れたんじゃない、慣らされたんだ。分かるか?よく似てるが致命的に違うこの差が?」

レッサー「本日のテーマはバルセロナの悪口でしたっけ?」

上条「いやスペインさん悪くねぇよ。選手のプライベートにまで管理できるか」

レッサー「『人に育てられたヒトは人になり、オオカミに育てられたヒトはオオカミになり――』

レッサー「『そして怖ろしくもフランス人に育てられたヒトはフランス人になる――byレッサー=チャン』」

上条「大体の場合、育て親の国籍も一緒になるんじゃないか?まぁ普通の場合は?」

上条「てかあんな言い訳通じんの?『差別だと思ってなかったけど、身内では使ってたからセーフ』的な?」

レッサー「何言ってるんですか通じるわきゃないでしょうが。まぁ”普通”であればアウトなんです」

レッサー「えーとまずですね、差別的な表現自体多々ありまして、超マイナーなものからメジャーなものまでそりゃあたくさんです」

レッサー「海外であれば確実に日本人は体験することですが、日本人だからジャッ×と呼ばれ、抗議をすると『知らなかった。国を表す短縮名で.japだろ?』――」

レッサー「――というヘイトスピーチは日本人あるあるですね」

上条「知らなかったんなら仕方がないんじゃ?俺も嫌だけど」

レッサー「『ジュー』という単語をご存じで?」

上条「あぁジューダス・プリース○」

レッサー「違うわボケ。あぁいえ口が過ぎました、違いますよこのボケ」

上条「イギリスの超有名なメタルバンドじゃなかったっけ?

レッサー「あぁはい、メタルなんで私よりかフロリス好きですね。ご存じでありがとうですが、あれは『ジューダス(Judas)』であり、私が言ってんのは『Jew』です。まぁ近いといえば近いですけど」

上条「知らない。どういう?」

レッサー「主に”Jew”でユダヤ人を示すのですが、今は”Jewish(ジューウィシュ)”という形容詞を名詞のように使うのがマストになっています」

レッサー「てか公共の場では”a Jewish person”とユダヤ人を呼んでくださいね?かなりマジでお願いします」

上条「Jewが差別用語でJewishが正しい呼び方。殆ど一緒なのにな」

レッサー「まぁこれはユダヤ人の歴史に因んだ名前であり、紀元前10世紀頃に存在したイスエラル王国のユダ氏族というのがルーツになっておりまして」

上条「日本じゃユダっていうと神の子の弟子で裏切った人が有名だけど、あれとは関係ないの?」

レッサー「あるなしで言えば関係あります。国名や民族名に使う名前ですので、やはり男性の一般的な名前の一つでしたからね

レッサー「というかキリスト教ができる前まで、あそこら辺りの全ての宗教はユダヤ教かローマ神教。なので神の子も当然元ユダヤ教徒でしたし」

レッサー「あくまでもこれは個人的な見解かつ、本来のテーマとは脱線するのですが……『神の子って自分が新しい宗教の開祖だって思ってなかったんじゃね?』と」

上条「え、キリスト教って言ってんのにか?」

レッサー「死後数世紀経ってからですね。そしてローマ皇帝ですら『ユダヤ教の一派でしょ?』とフツーに傍観していましたし」

レッサー「考えてみてください。当時の『力=正義』って世相下で、ローマ帝国は邪魔になるんだったら徹底的に潰したと思いませんか?」

上条「でも処刑されてんだろ」

レッサー「他の弟子は無罪放免でしたので、かなり罰則としては緩かったと思います。私だったら全員吊っとく?みたいな」

上条「それやったよね?魔女狩りで散々やって人口減ったんじゃなかったっけ?」

レッサー「なお中世ぐらいでしょーかね。ユダヤ人は『ユダヤ人は神の子を殺した連中だ!』という中傷が」

上条「え、でもその頃全員ユダヤ人っつーかユダヤ教の人じゃ?」

レッサー「えぇですから、ひっじょーに厳しーくジャッジしますと『ユダから神の子まで全部ユダヤ教徒』でもありますし、神の子がキリスト教に分類されるのであれば、ユダも破門されていない以上同じキリスト教ってことに」

上条「……確かめようのない話だな」

レッサー「ピラトなり煽った連中もまたそうではあるんですが、どこまで広げるかは定義にもよりますし解釈にもよります」

レッサー「しかしユダヤ教が散々な目に遭っていたのは間違いなく、まぁ理由さえあれば差別しますからね」

レッサー「まぁともあれマジでJewishと呼ばないとダメなんですよ!知らないでは済まないですから!」

レッサー「――『”それと同じように”、ジャッ×という言葉も差別的な意味を持つから使うのやめてね?』」

レッサー「『今回は学校と大使館に連絡するだけで大事にはしないけど、ユダヤ人はダメで日本人はオーケーってことにはならないからね?』」

レッサー「――と、某国へ留学していた人は常にそうツッコんでいたそうですが」

上条「やってんのかよ。それで使わなくなったんだったらいいけど」

レッサー「そんな訳ないでしょうが、影ではボロックソ言われてたでしょうね」

上条「改善されてなくね?」

レッサー「まぁそうなんですよね。差別用語使っておきながら『知らなかった』っていう言い訳するような人間は、大抵”分かってて”言ってます」

レッサー「だってそうじゃないですか?公的な場所や人が絶対に使うはずのない言葉をあえて使う、というのは”そういう”ことです」

上条「根が深いのか……業が深いのか」

レッサー「何ともそればかりは分かりませんねぇ。私だって気に入らない人間は『あのクソビッ×』とか言いますし。仲間内で陰口叩くのもアリでしょう」

レッサー「その延長線上で差別用語が出る、なんてこともあるでしょう。理解はします――」

レッサー「――が、しかし相手の悪意のあるなしが分かりようもないので、とにかく例外なく使ったらダメだし問題になるよ、というのが今の不文法的な感じです」

レッサー「どこまで厳しく追及されるのかは国や地域によってまちまちですが、アメリカの黒人への中傷に関しては過去のツイッターやフェイスブック掘られて、スクールカーストから転落する人間が多々あり、とだけ」

上条「相手が子供でも容赦ねぇのな!」

レッサー「私も正直18歳未満であれば、度を超さない限り――まぁ実際の暴力を伴わない限りはセーフとしたいんですがねぇ。アルコール入ってバカするのもないこたぁないでしょうし」

レッサー「――が、今回のフランス人のサッカー代表選手はそのレベルですらないです。あのニーチャンが言ってるのは侮蔑的表現であり情状酌量の余地がないですわー」

上条「フツーに言葉が分からない相手へ向って言ってるからな」

レッサー「ストリートのチンピラが言葉分からない旅行者へ言ってんのと大差ないですからね。立場ある人間だけによりタチが悪いですな」

上条「んで結局の所だ。落とし前っていうか、どのぐらいの社会的制裁に落ち着きそう?」

レッサー「いやぁこのまま無罪放免じゃないですかね?何もしなかったらですが」

上条「なんでだよ。お前ら人権人権差別差別、日頃から言ってるだろ」

レッサー「――いいですかー、上条さん?マウントというものは他人に取るものであって、他人に取らせるものではありません」

上条「やっぱりそれですコノヤロー。そんな気はしてたけども!」

レッサー「まず人種が黒人なので追求がしにくくなるんでドラ1、アホみたいな獲得金ぶっこんだバルセロナが退くに退けなくなっているのでドラ2」

レッサー「次にフランスが国挙げて守るんでドラが10枚ぐらい載っていますね!」

上条「最低か。そこまでアレなケース探す方が難しいぞ」

レッサー「まぁ所詮フランスはフランスですから。人権団体もスター選手にケンカ売る度胸はないでしょうし……まぁ、フランスもかなり抉らせていましてね」

レッサー「今年の3月ぐらい、フランス学生全国連合っちゅーフランスの団体でスキャンダルが」

上条「フランス学生……なに?」

レッサー「学生で作られた、あー……大学に自治をとか?教育がどーたらって団体です。リベラル系、というかまぁ分類に困ると言いますか、政治的な色を帯びた団体ですな」

上条「日本にいるわ。角材持って暴れてた人たち」

レッサー「その人達が自分のとこの会議で『白人だけ参加を認めない会議』ってのを開いていたそうで」

上条「なんで白人だけダメなの?」

レッサー「そこの代表は『会議が人種差別を受けた人が体験談を話せるように』と釈明しています」

上条「……別に白人だって差別されるときはされるだろ?つーか差別された人だけが参加できる、ってのもう差別のような?」

レッサー「ちなみに与党側とマクロンは同行為について非難していますが、学生連合側を支持する声もそれなりに」

上条「抉らせてんなぁフランス……!」

レッサー「抉らせるというよりも病んでる感がしますが……さて、ここで本題へ移りたいと思います。みんな大好きフランス黒歴史です」

上条「俺はウンザリしてるよ?『あぁまたか』ってお前らの話聞いてると嫌になるよ?」

レッサー「フランス国内でド・ゴール主義、国外ではド・ゴール症候群と呼ばれている現象がありましてね」

上条「ド・ゴールっていうと、アレか?フランスの大統領で植民地に逃げて抵抗運動した人か」

レッサー「ですね。フランス”国内”の評価は非常に高く、フランスを解放した”と言われている”ため、今も人気が高いです」

上条「やだ、お前がアクセントつけんの超こわい」

レッサー「――さて上条さん!フランスはナチスにパリを陥落させられ一度は降伏した身ですが、どうやって本土奪回を果たしたかはご存じで!?」

上条「ノルマンディー上陸作戦だっけ?アメリカとイギリスとフランスが合同で攻め込んだ映画見たわ」

レッサー「『史上最大の作戦』ですな。名作なんで是非見てほしいところですが……ド・ゴールが戦っていたのはどこ?」

上条「どこ?そりゃ決まってるだろ、フランス助けるためには……あれ?どうやったんだ?」

レッサー「ド・ゴールがやったのはですね、実に現実的な手段でした。まず単独での撃破は無理なので、イギリスとアメリカからヒト・モノ・カネを引き摺り出しました」

レッサー「んで次にフランスの外地、植民地を襲撃して支配するついでに軍備も奪う。相対的に相手を毀損するハラスメント行為を徹底しました」

レッサー「あとはまぁ軍艦足りねーっつーから貸したのはイギリスだったり、ノルマンディーで一番兵隊ぶっ込んだのはアメリカだったり」

上条「それは……まぁ、しょうがない、んじゃないか?ヒトもいないんだしさ?」

レッサー「そしてまた私がフランス嫌いな原因の一つに数えるのが、ド・ゴールがやったノルマンディー上陸の際の演説ですわ。各国の首脳があれこれ言うんですけど」

レッサー「そこでド・ゴール、我々連合国なんて一っっっっっっっっっっっっっっ言も言わず感謝もせず、当然同盟国からの評判もクッソ悪いものでした」

レッサー「また当然協力した植民地は戦後も植民地のまま。なんで現地の人間がしゃーなしと反乱運動を起こし、それがフランス本土へ伝わって独立を勝ち取った国もあります。アルジェリアとかですね」

レッサー「しかしそこで問題になったのは、現地の人間でフランス政権側に肩入れした人と支配された側。特にアルジェリア戦争ではフランス軍に参加した黒人も多い」

レッサー「そうなると旧植民地に残っていても体制側に処刑されるか冷遇される。なのでフランスへ逃げる、というのが今フランスにいる黒人のルーツの一つになります」

レッサー「ですので彼らには自負があります――『第二次世界大戦を見事に戦い抜き、ファシストどもから見事に世界を守った』という自負が!」

上条「改竄されてねぇかな記憶?間違ってはいないんだけど、イギリスさんやアメリカさん、あといっちょ噛みしてたソ連もいたような……」

レッサー「そしてオマケをつけるのであれば、同アルジェリア独立戦争中、たまたま、偶然、何かの弾みでフランスさんが核実験を敢行しましてね。通称無『ジェルボアーズ・ブルー』といいます」

上条「また嫌なタイミングでしたなぁ」

レッサー「しかもその場所がサハラ砂漠のアルジェリア国内というんですから驚きですよねぇ」

上条「何やってんだよフランス!?独立戦争仕掛けられてる所で核実験って!?」

レッサー「実質核爆弾落としているのと何が違うのかと。死ねば良いと思いますし、結局その脅しも効かずに独立戦争で負けたんですが」

上条「……核で脅しておいて負けたのか……」

レッサー「ちなみにフランスはアルジェリア戦争についての報道規制をし、当時は殆どニュースにならず、またフランスの歴史からも消されていました」

レッサー「しかし流石に90年代になり隠せなくなり、フランス政府がアルジェリアでやらかしたアレコレがバレて問題化します。そしてフランス政府が取った行動とは……ッ!」

上条「と、とは?」

レッサー「『フランスの植民地支配を肯定する法律』を可決させ、正当化を謀ったのですな……ッ!!!」

上条「おいコーカソイド。お前らって俺たちが思ってる以上にバカなの?それともフランス政府がお前らをナメてんの?」

レッサー「まぁ流石に大反発で一年で廃止されたそうです。あ、これ2005年の話ですね」

上条「一年もったんかい。そして結構最近だな!」

レッサー「まぁそういう訳で件の選手も汲んでやってください。ルーツがあるアフリカへ帰っても『裏切り者』扱いされるので、彼らはフランスで白人の真似をして生きていかねばならないのです」

レッサー「そして金を持っていようがどれだけ国に尽くしようが、真の意味でフランス人と認められる日は遠いのです。残念な話ですが」

上条「コメント困るな!」

レッサー「んでまた脱線からド・ゴール主義へと戻るのですが。さて、上条さんにクイズです、EUの本部があるのはどこ?」

上条「あ、それ知ってるテレビでやってた。ベルギーだろ?」

レッサー「正解です。ではNATO、北大西洋条約機構の本部があるのは?」

上条「それは知らない、けど話の流れからするとやっぱりベルギー?」

レッサー「ですな。では『どうしてフランスではなくベルギーにあるのか?』はご存じではない?」

上条「地理的な問題じゃないのか?最初っからベルギーにあったとか?」

レッサー「ヨーロッパ内であるのなら、一応は戦勝国であり常任理事国のフランスでもいいとは思いませんか?」

上条「そうだな……言われてみれば確かにそうかも。なんで?土地代的な問題?」

レッサー「いや最初はフランスに置いてあったんですよNATOもEUの前身組織のEECも。てか後者は作る前だったんですが」

上条「へー、なんで引っ越ししたん?」

レッサー「フランスがアホなこと言い出しましてね、正しくはド・ゴールのアホですが。『フランス国内に駐留できるのはフランス軍だけである!』と」

上条「何言ってんだド・ゴール!?お前その余所の国の軍隊のお陰で母国取り戻せたんだろ!?」

レッサー「ド・ゴール主義曰く、『フランスのためには外国に依存しない。圧力にも屈しない』のがベースになっています」

上条「そう聞くと分からないでもないが、なんでNATO軍に参加しないって話になんの?」

レッサー「私に聞かれたって正直困ります。恐らく防衛を少しでも他国へ任せたり頼ったりしたらいけない、という思想なんでしょうが」

上条「ド・ゴールさんの半生は真逆だろ。頼りに頼りまくった挙げ句だろ」

レッサー「他にも経済的にも似たような考えでして。『国を跨いだ経済圏を作るな!』と言いつつEECに加盟して、大規模な農業政策に反対しまくったり」

レッサー「更にはあとから加盟しようとしたイギリスやデンマークなどには、ド・ゴールが影響力あった頃にはずっと反対しやがっていました」

レッサー「なお理由としては『ヨーロッパへ対するアメリカの影響力が強くなりすぎる』そうで」

上条「……なんか問題あんのか?今だってアメリカ軍が駐屯してる国は世界中にあるだろ?」

上条「そしてフランスが反対するのは自由だと思うし、それは国民が決めることだけど……他の国がどう考えるのはまた別だし、そもそも今のフランスはアメリカとイギリスのおかけでさ?」

レッサー「私も少なからずそう思うんですが、何か抉らせやがったんですよフランス。変な所で中立主義っていいますか、イギリスとアメリカの逆張り絞ったり」

上条「……あぁ!そういや変な所で首突っ込んできたりすんのはそれか!?」

レッサー「中東で戦争があった際、イギリスとアメリカが爆撃したのにフランスは逆に非難したりもしますね。フランス国内では『独立思想』と自称していますけど」

レッサー「その一連の『なんじゃそれ』的な、外国から見たら理解に苦しむフランスの行動を指して『ド・ゴール症候群』と揶揄されています」

上条「病気扱いは流石に酷いと思う」

レッサー「えぇ分かりますとも。ヤポン人にはフランスのアレさ加減は中々伝わらないのです……えーとド・ゴール症候群の一つとして『自由ケベック万歳』という事件がありましてね」

上条「ケベック?ケベックってカナダじゃなかったっけ?」

レッサー「えぇまぁそのカナダですね。モントリオール五輪をやったケベックです」

レッサー「そのケベックで万国博覧会をすることになりまして、我らがド・ゴールも行ったんですよ。大統領としての看板背負って」

レッサー「そこでやからしたのが『自由ケベック万歳』演説。カナダ激おこ。今に至るまでカナダとフランスは超仲悪いです」

上条「ん?どゆこと?ド・ゴールがケベック万歳すると何か悪いの?」

レッサー「ケベックは元々フランス系の入植者が多い場所でして、その前後から今日に至るまで独立運動や過激派によるテロが行われているんですよ」

レッサー「そんなところでフランスの大統領が『自由ケベック万歳!』なんて言ったら、そりゃもう運動が盛り上がるに決まってるでしょう?」

上条「うわぁ……お前それ、うわぁ」

レッサー「てゆうかそもそもケベック自体は州として他のカナダの州と見劣りなく”自由”だったのに、アホが余計なこというもんだからカナダ政府は超怒りました」

レッサー「『お前んとこの戦争にもウチは従軍してパリ取り戻すのにも手伝ってんのに、その礼が国内分断を招く内政干渉か!』と」
(※カナダ首相が正式に言い切った上、フランス大使館へ通達したカナダ)

上条「い、いや待て待て!独立運動って言っても平和的だったら、ホラ!まだ許せるっていうかさ!?」

レッサー「アホが演説しやがったのが1967年7月、その二年後にはダイナマイトでのテロ事件が起き、その更に一年後にはオクトーバー・クライシスというカナダ最悪のテロ事件が起きています」

レッサー「当時のトルドー首相は軍隊まで動員して鎮圧。100kgを超えるダイナマイトを押収されましたとさ」

レッサー「しかもモントリオールは万博開かれるぐらいに大きな都市だったのに、同テロ事件の煽りを受けて各種企業は尻込みをして撤退。市内の経済状況が大幅に悪化するというオマケつきです」

上条「大丈夫かフランス?ほぼ無関係の俺でも段々嫌いになってきたけど、大丈夫かこれ?」

レッサー「ご心配なく上条さん!第二次世界大戦で同じく戦ったにも関わらず、仲が比較的良好なイギリス・アメリカと比べてハブられてるってのはそういうことですから!」
(※そういうことです)

上条「ていうかこのフランスさんの俺ちょっと心当たりがあるんだけど……」

レッサー「ほう、聞きましょうか。ズバって言ってやってくださいな!」

上条「中二か」

レッサー「イェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!ザッツライッ!!!まぁ分かりやすい概念で言えばそうなりますな!」

上条「なんて言ったらいいのか迷うんだけどさ?表現に困るっていうか、あー、アメリカってイギリスから独立して仲悪かったのに、今は仲良いし」

レッサー「えぇまぁ私もド・ゴール主義並びにド・ゴール症候群を何と例えたもんか迷いましたが、まぁ一番近い概念が中二と言わざるを得ず」

レッサー「特に大した理由ないのに格好付けしぃの、またあるときは謎の自分ルール持ち出して自分で破ったり、余計なことをやらかしては反省をしない」

レッサー「実力なんかクソほどもないのにイキってみたり……ッ!!!」

上条「ヤッベェな!あとなんか小説の設定とかノートに書き出したら中二病まんまんだわ!」

レッサー「個人レベル、せめてコミュ的な話であれば『あいつらアホだしwwww』と草生えるだけで済むのですが、何度も申し上げてるようにここぞという時にやらかすのがフランスでして」

レッサー「結局イキって加盟してなかったNATO軍も10年ぐらい前、フツーに加盟しましたからね?お前らアホかと」

上条「まぁまぁ最終的に加盟したんだしさ?」

レッサー「……『冷戦で一番やばかった時代に集団的自衛権って義務を果たそうとしなかった』、とも評価されてますけどね」

上条「あー……」

レッサー「そしてフランスの近年一番のやらかしやがったことはイラン政策です。かなり前はイランが親米国家だったのはご存じですか?」

上条「ちょっとだけ聞いた。独裁者を援助してたんだけど、圧政しすぎて革命起こされたって話が」

レッサー「という話が一般的ですが――さて、本当に独裁者だったらそんなこと許すと思いますか?私だったら武力で押さえつけますけど?」

上条「……真っ当な感じではない、と?」

レッサー「場所がソ連の南ですからねぇ。そもそもアメリカが革命前のイランに色々援助してたのも、ソ連へ対するカウンターですし、何かしてない訳がない」

レッサー「勿論当時のイラン政府、ひいては国王が失政やら弾圧をしていたのも事実ですし、心の底から革命を望んで参加された方もいるでしょうが」

レッサー「しかしながら革命後は東側諸国とズブかつ、国内から国外まで革命防衛隊がブイブイ言わせつつ、かつ周囲の反政府組織に援助しまくるという
(※レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、そして自分とこの軍隊がシリアに直で送り込んでイスラエルを攻撃している)

上条「そのお金どっから出て来たんだろうなー。そしてそこまでフレキシブルかつグローバルな活動できるぐらい金あんのに、どうして前の政権は軍事や経済にぶっ込むことなく倒れたんだろうなー」

レッサー「不思議ですよねぇ。そりゃ経済的に失敗するのは政策もナマモノですから分かりますけど、イランは確か埋蔵量世界屈指の油田があり」

レッサー「我らがイギリスの商社が採掘と精製を請け負っていましたから、金がないってことはなかったのに!」

上条「あ、革命起きた原因分かったわ。悪魔と契約してたからだわ」

上条「つーかでもここまでではフランスさん関係なくね?どっちかっていうとアメリカがヘイト管理失敗したって話だろ?」

レッサー「いいえ……そのイラン革命を果たした宗教指導者さん、革命が成立するまでの約一年の間フランスに亡命していたのです……ッ!!!」

上条「クロじゃねぇか。始めて黒夜見たときに思ったぐらいにクロいじゃねぇか」

レッサー「あの方も黒っつーかクロにゃんですけども。ではなく全く全然これっぽっちもイランに関係してなかったフランスが、そのタイミングで受け入れするかぁ?と」

上条「……人道上の観点?」

レッサー「まぁそんなフワッとした理由でしょうね。正しくはアメリカの影響力がある国を作りたくなかったんで、手は貸していると思います。積極的か消極的かは別にして」

レッサー「それで人道上の観点から匿ったのに、それで建国したのが『人権なにそれおいしいの?』国家ですからねぇ。どんだけ下手打ちやがるんだと

レッサー「しょーもない嫌がらせでエッライ他方に迷惑かけています」

上条「えーっと、偶然、ってことはないのか?たまたま選んだ亡命先がフランスで、みたいな?」

レッサー「イラン革命が起きたのは1979年の冷静真っ只中ですよ?ソ連健在でそれぞれの追従している国家もあるなか、どうして西側のフランスを選ぶ必要があったんですか?」

レッサー「地理的にももっと近い第三国があり、かつ東側やムスリム国家があったのに、です」

上条「何かはあったんだな。何かが分からないだけで」

レッサー「単純に良かれと思ってかも知りませんけど。現実にはKONOZAMAです」

レッサー「そして話は変りますが、フランスの軍事大系にも問題が!前に話したような気がしますけど、連中核ミサイル積んだ原潜運用してるんですよ!」

レッサー「詳しくは長くなるので省きますけど、原潜の運用思想はミサイル積んで潜行して、敵国の知らない場所からぶち込むのを前提していますが!」

レッサー「フランスぐらいの国土と規模じゃ、更に持ってる核の数からすればおかしいんですよ!長距離ミサイルで充分じゃないですか!」

レッサー「どう考えてもイギリス向けにしか思えません!おかしいですよねっ!?」

上条「でもイギリスもお持ちなんでしょう?」

レッサー「何言ってんですか当り前じゃないですか!?いつでもフランスに撃てるように原潜をドーバーに配置していますよ!」
(※どっちもお互いの国もやってる)

上条「軍縮はどうした西洋人」

レッサー「全体的な核ミサイルの数は減らしていますが、潜水艦から打ち上げるタイプの核ミサイルは次々と更新され続けています」

レッサー「それが効率的なんですよねー。長距離ミサイル作って国土に置いたら隠せませんけど、潜水艦だったらどこの海からも撃てますしー?」

上条「『人類は科学技術をエ×目的にしか使ってねぇ』って言葉があったが、そうじゃなかったな!良くはないけど!」

レッサー「インターネットも元軍事技術には違いないですからねぇ。大体の技術はそう」

レッサー「まぁ、ともあれ!フランス野郎の中二の数々をご理解いただけたでしょうかっ!?」

上条「何か目的で不明が逆に怖いよな。イギリスとアメリカの足引っ張りたいのか、ただの中二って可能性も少し、いやかなりあるし」

上条「たまにいんじゃん?中立主義とかいって、二つの意見あったら真ん中選んだり、どっちも同数になるように動いたり」

レッサー「他人様の主義主張は自由だと思いますけど、それはどうかと思うんですよ」

レッサー「例えば火事で燃えてる家があったとしましょう。ある人は『大変だ!水をかけよう!』と言ったとします」

レッサー「しかしもう一人の人はこう言いました、『大変だ!ガソリンをかけよう!』と」

レッサー「じゃあその間の”中間”とは一体何でしょうか?砂をかける?それとも消臭剤?」

上条「極論だろ。片っぽの選択肢がハズレだし」

レッサー「はい、勿論そうですね。片方の選択肢が間違っていると明確に分かっているのでここで中立論は成り立ちません」

レッサー「しかしながらこの世界は0か1かの選択肢でなり立っている訳ではありません」

上条「うん?どういう意味だ?」

レッサー「お風呂の水をバスタブに20cm入れる派、また40cm入れる派の両派があったとします。ここの中立派は30cmです。まぁそんなもんでしょう」

レッサー「しかし中には『フロなんて入らない!』とか『サウナで整いたい!』とかいう人たちもおり、そんな意見の”中間”でどこかと?」

レッサー「度々例に出すロシアのウクライナ侵攻ですが、あそこの国内では安全保障に関して二つの意見がありました」

レッサー「片方は『ロシアが危ないからNATOに加盟して集団的自衛権を獲得しよう!』という派」

レッサー「もう一つは『そんな事しちゃダメ!ロシアを刺激しないようにしよう!軍備も必要最低限で!』という派」

上条「どっかで聞いた話だなオイ」

レッサー「という両論がある中、ウクライナの民意は『NATO加盟せずに軍備もそこそこね』という、ある意味中立派が多勢を占めていたのですが」

レッサー「その結果どうなったのかはご存じですよね」
(※以上ソースは在日ウクライナ人のツイッターでそう仰っていました)

上条「あー……片方が100円の値札つけようって話してんのに、もう片方がマイナス1万円で言ってたらバランス論は成立しないわなぁ」

レッサー「てかただの思考の放棄です。風見鶏でもあるまいし、自分の意見ぐらい他人の顔色を見ずに自分で決めなさいよと」

レッサー「――と、いうような理解しがたいバランス論にフランスは陥っています。なんつーか無理に第三の選択肢を作り、そこの旗頭になろうともう必死?」

レッサー「これは……確か3年ぐらいでしょうか、マクロンが『NATOなんて古い組織から脱却して欧州軍を作ろうよ!アメリカからの依存脱却なう!』とホザきましてね」
(※意訳)

上条「マクローン、あなた疲れてるのよ」

レッサー「いや私だってそう思いましたよ!?『お前らだろ!そのNATOがなんか嫌だって加盟してなかったのお前らだよなぁ!?』とブラウザに向ってツッコみましたとも、えぇ」

レッサー「なおロシアのプーチン大統領は『いいね!そうするべきだよ!』と絶賛していますので、悪手中の悪手だと思います」
(※意訳)

上条「なぁレッサーさん、フランスさんに『恥』って単語はないの?」

レッサー「私も寡聞にして存じません。多分ないんでしょう」

レッサー「あと先程お話ししたフランスのサハラ砂漠での核実験、ぶっちゃけアルジェリアへの核攻撃ですが。あれが核の拡散に一役買ったって論もあります」

上条「ん?なんで?」

レッサー「あの実験でフランスが第4の核兵器保有国になっていた訳ですが、当時持っていた国はアメリカ・ロシア・イギリスです」

レッサー「つってもどこの国も安全保障は確保したいながら、同時に無限の予算がある訳ではないんですよ?兵器開発に回せばそれだけリソース割かれますんで」

レッサー「なのでその三ヶ国が核実験を控えていたところにフランスがやらかしたため、『じゃあやったらぁ!』とソ連が水爆の実験開始を始めましたさと」
(※当然アメリカもやった)

上条「考えてみればフランスも核保有国なんだよな。なんで一部の人ってフランスを自由の国だったり平和な国って持ち上げるんだろう……?」

レッサー「ド・ゴール主義で”一見”アメリカに物申す大国だと思われてるんじゃないですかね。王族ぶっ殺して共和制になった国ですし、王政を目の敵にする人も一定数いますから」

レッサー「ただその実、新しい敵になった旧ソ連やロシア、中国や中東の過激派とは距離が地理的に遠い。なので危機感も低い」

レッサー「対象的なのがポーランドで今の時代になってすらアメリカ軍の基地の誘致をしたりもしています」

上条「何だろうこの勘違いっぷり、なんかこうチグハグなんだよな」

レッサー「上条さんは冷戦時代に冷戦だったことを必然とするタイプですか?それとも偶然派?」

上条「なんの設問だそれ。冷戦は冷戦だろ」

レッサー「えぇと西側と東側の対立が本格的な世界大戦に発展することなく、ソ連の崩壊で冷戦は一区切り尽きました」

レッサー「これを”運が良かった”のか”原因があってそうなった”のと、どちらだとお考えで?」

上条「結果的には偶然じゃないのかな?ベルリンの壁だって誰かがそうしようと思ってやったんじゃなく、その場の流れでなったって聞いたし」

レッサー「あの一場面に関してはそうでしょう。しかしそこまで行く過程、まさかとは思いますが市民の勇気と無謀だけで瓦解しただなんて思っちゃいませんよね?」

レッサー「東側のファシストだってアホじゃないんですから、軍とドグマで民衆を押さえつけてたのに、あの日たまたま霧が晴れるように天恵がもたらされたとでも?」

上条「偶然じゃないの?つーかことはどっかの国が仕掛けてた?」

レッサー「という話ですらなく。ベルリンの壁、ドイツ統一前のあそこは東西冷戦の象徴とされていました。お互いにお互いを監視し、行き来できないぐらいにね」

レッサー「当然東側も西側へ逃げる民衆を射殺を含めて厳しい措置を取っています。悲しい話ですがね」

レッサー「しかしあの日は何故かその厳しい措置を取れずに、壁は崩壊してしまったと」

レッサー「問題です。東側がそんな統制すらできず、結果的に東側が崩壊してしまった理由は?」

上条「疲れてたんだろう、誰も彼も。政府から兵士から民間人まで」

レッサー「それは何故?」

上条「何故って……出口の見えない延々と続くマラソンさせられてたからとしか?戦争ふっかけるにしても割に合わないし勝てる自信もない」

上条「だからずっと同じような体制で続けるしか――あ!」

レッサー「では以上の前提を元にもう一度質問を繰り返させて頂きます。東西冷戦中、大規模な大戦に発展しなかったのは何故でしょう?」

上条「前提が逆か!戦争が起きなかったからこそ、徐々にどっちかが疲弊していった……!」

レッサー「用意した軍備は無駄にならず、お互いに安全保障を約束して結束して外敵と戦う条約を結んだ。それによって手を出せなくなり東側が自滅した」

レッサー「もし仮に西側諸国がバラバラのままであれば、そして軍事を疎かにしていればウクライナのように各個撃破され、欧州は赤く染まっていたでしょう。物理的にもね」

レッサー「――と、いうのがある種の支持を頂いている歴史認識なのですが、それには例外がありましてね」

上条「例外?」

レッサー「ある国はNATOへの加盟を拒みました。理由は自分トコに国土へ友軍であっても入り込まれるのが嫌だからだそうです」

レッサー「ある国はヨーロッパ以外の軍がヨーロッパに駐留するのを嫌がりました。理由は他国に干渉されるのが嫌だそうです」

レッサー「ある国は自国がEUのど真ん中、ぶっちゃけ地理的な要因で他国から攻め込まれる心配がほぼ無いお陰で、安全な場所から好き勝手言いやがります」

レッサー「PKOに加えれば現地で買春やらかして信頼下げやがるし!」
(※しかも国連の配給物資の横流し。一人二人じゃなく)

レッサー「………………ねっ?私の気持ち、引いてはそこそこ多くの保守派の人間の気持ちが分かったでしょう?」

上条「タッチ悪ぃなフランス!?ごめんねレッサーちゃんさん!お前が忌み嫌う理由の一端が分かったよ!」
(※フランスの悪口だけで長編SSが成立させる自信があります。面白いかは別にして)

上条「しかしスゲーなド・ゴール主義って!よくまぁそんなのが今までやってこられたよな!」

レッサー「これはあくまでもフランスが嫌いな人間の私見ですよ、と前置きした上でお話ししますが、大抵イキったりいちびるのは自信のない証拠なんですよね」

レッサー「第二次世界大戦中のド・ゴールはエッラい態度デカくてチャーチルからもルーズベルトからも超嫌われていました。『あいつなんなん?』とスターリンに愚痴るぐらいに」

上条「どんだけ嫌われてたんだよド・ゴール」

レッサー「まぁ実際にド・ゴール主義に元になってるド・ゴールのアイタタタな言動は事実あった訳ですが――」

レッサー「――さて、どこまでが計算だったのかと」

上条「意味が分からん。ボスじゃねぇんだから」

レッサー「勿論アホがやらかしたのが偶然上手く言った可能性もあるのはあるのですが、一応まぁ頭の中に頭脳が存在していると仮定した上での話です」

上条「やだ超ヘイト」

レッサー「ド・ゴールだってアホじゃねぇんですから考えてるはずです。つーかなんだかんだで連合軍巻き込んでフランス解放している人間がただのアホな訳がない」
(※他にもっと優秀な人物は多々いたのも事実ですが)

レッサー「他人様の手を借りて独立したのに、その後恩知らずのような真似をし続けたのは理由があったんだと思うんですよ」

上条「理由?どんな?」

レッサー「戦後のフランスが独立路線、後世で語られるド・ゴール主義、つーかまぁ直訳すれば中二病やってたのは牽制のためではないかと」

レッサー「世界大戦の戦勝国であるイギリスとアメリカがデカい顔と恩を売るのは規定事項。これに他の国も巻き込まれるのも」

レッサー「なのでフランスを大きく見せることにより、両国のフランスやヨーロッパへの干渉を防ごうと」

上条「ソ連は?共通の敵じゃなかったのか?」

レッサー「ご存じですか?フランス人の中には自国を”ビッグ・フォー(Big Four)”と称する人間がいることを」

上条「もう嫌な予感しかしねぇなその呼び方だけで!」

レッサー「自分で言ってますからね、『ファシストから勝利した四つの大国』と。まぁフランスが戦ったのは一部、そして植民地から徴兵した黒人も大勢いたのですが」
(※マジでそういう見解の人間が多い)

レッサー「私としては反対ですし、正直賛同する要素が皆無なのですが……理解出来なくはないです。同じ立場でするかは別にして」

上条「なんでだ?国のためになるんだったら良くないか?」

レッサー「勿論仰る通りです。国のため、ぶっちゃけ国民の生命と財産を守るためであればド・ゴール主義だろうが症候群だろうが、なんだっていいと思います」

レッサー「――が、しかし!ド・ゴール主義って本当にフランス国民のためになっていますかね?」

レッサー「態度のデカい勘違い野郎であればまだ失笑レベルで済むのですが、兵器の独自生産や集団的自衛権から外れたり、同盟国の足引っ張ってみたり」

レッサー「これ、フランスの国益になっていますか?どうです?」

上条「……結果論で言えば、あんまり成功しているとは思えない」

レッサー「そして多分この話をするのは三度目ぐらいになるでしょうが、イギリスのドキュメンタリー番組でグライダーを飛ばすって企画やったんですよ」

レッサー「全長2mぐらいの動力のない飛行機でドーバー海峡を渡ろうって企画が」

上条「あぁうん、その切ない話な」

レッサー「前半は割りとワクワクしながら見てたんですけど、後半始まった瞬間に司会者が『残念なお知らせがあります』と。一体何だろうと話を聞いてみれば」

レッサー「『フランス政府の許可が下りなかったんでドーバー海峡を飛ばせなくなりました……』とね!」

上条「お前らの仲の悪さも大概だが、それ以上に『事前に許可とっとけや』って全力ツッコミも入るがな!」

レッサー「ド・ゴールの時代だったらまだ分らないでもないんですよ。戦後大勝ちしたイギリスとアメリカが好き勝手やるかもしれない、だから適度に釘を刺しておこうと」

レッサー「しかし現代でやる意味も価値もないじゃないですか。特にマクロン、テメーのことだよ」

上条「あぁ、欧州軍設立って話か」

レッサー「ちなみにそのマクなんとかさんはド・ゴール主義者からは超嫌われています」

上条「あれ?でもマクロンの取った行動ってフランスの独立主義的な感じじゃねぇの?」

レッサー「あのアホ、自分の大統領勝利演説の際、フランス国家ではなく第九流して超反感喰らったんですよ」
(※普通はフランス国歌。第九はEUの歌)

上条「思いっきり外国だな!」

レッサー「まぁご本人は『EUの盟主に戴冠した』ぐらいの気持ちだったのかも知れませんけどね。国民にも失礼です」

上条「目的のために手段があるのに、手段のために目的を選んでる気すらするよな」

レッサー「そしてフランス人が謎の独立心に拘る理由としては、『ボナパルティズム』の存在があるんでないかと」

上条「ボナパルっていうとやっぱりナポレオンさんか」

レッサー「そうです、下町のいいち○です」

上条「下町のナポレオ○な?そんな古いCMネタで誰が分かるんだよ」

レッサー「ボナパルティズムもまぁ厄介な思想でして……まぁ一言で言えばナポレオンの治世を求める運動、でしょうか」

上条「民主主義は?ねぇフランスで生まれたらしい市民による市民のための市民達の民主主義さんはどっか行っちゃったの?」

レッサー「ここでフランスさんのトンデモ歴史を超簡単におさらいしておきましょう。まずは第一共和政です。アントワネットに全ヘイト押しつけたアホの所業の一つ」

レッサー「なお革命の原動力になったフランス政府の重税は、太陽王の対外戦争が主な原因です。しかし彼が勝ってた頃は問題にもされませんでした」

上条「否定出来ないな!」

レッサー「革命後8年、革命を行ったメンバー達の独裁と抗争で殺しまくった挙げ句、皇帝ナポレオン戴冠ですからね。まぁ面倒なので略しますが、こんな感じです」

○フランスの革命の歴史
第一共和政(1792〜1804)
第一帝政(1804〜1848)
第二共和政(1848〜1852)
第二帝政(1852〜1870)
第三共和政(1870〜1940)
ヴィシー政権(ナチス支配下)
第四共和政(1946〜1958)
第五共和政(1958〜現在)

上条「二回戻ってるだろ。なんで民主主義にしたのに二回も帝政に戻ってんだよ?」

レッサー「まぁ今では下火ですが。強い指導者と政府を求める層が一定数存在し、ド・ゴール主義が”症候群”に陥る要素はあったんですな」

レッサー「なので、あーゴーンさんいましたでしょ?現在指名手配中の」

上条「今何やってんだろと思うが、いたなぁ」

レッサー「あの人が当初主張していた、所謂『日産に嵌められた説』では『マクロンから日産の吸収合併を持ちかけられたから』ってのがありまして」

上条「何となく知ってる。大統領が一企業に関して首突っ込んでいいのかよって思った」

レッサー「あれはフランス的には”あり”です。ルノーが強くなれば国益に繋がるため、政府が首突っ込もうが介入しようがオーケーというスタンスが多い」

レッサー「てかぶっちゃけますとド・ゴール主義は形を変えた愛国心の一つなので、フランスの国益になればなんだっていいやーという派もあります」

上条「なぁ、さっきから俺たちは何の話してるんだっけ?アホがアホやらかして国益損なってんのに、結局最後はそこになんの?」

レッサー「なんつーかまぁ長期的な視野や観点を持たないって言いますか、その、私でも理解はしていません」

レッサー「サッカーで自国が勝ったら嬉しいじゃないですか?それが誤審であっても勝ちは勝ち、それが普通です」

レッサー「ゴーンさんは成功していましたが、負けて逃亡したので悪い人。なのでフランス国内からも経費流用でドラが追加される。ま、こんなところですね」

上条「お前ら未来じゃなくて中世暗黒時代に生きてるよな!」

レッサー「じゃなきゃナポレオンがいまだに英雄扱いされていませんよ。フランス国内だけならまだしも、ヨーロッパ縦断した殺戮者ですからね?他国からは蛇蝎の如く

レッサー「そしてまた第一共和政で自由()を勝ち取ったじゃないですか?人権どーたら個人の自由がどーたらと」

レッサー「しかしそのご立派な主義主張も、ナポレオン戴冠後は彼の帝政を肯定するために使われましたとさ」

上条「そのナポレオンにしたって最期は戦争で負けが込んで部下からクーデター起こされたからなぁ。勝ってるときは熱狂的に担いで負けたら賊軍」

レッサー「ヴィシー政権、まぁナチス占領下でのフランス政府で副首相と首相を務めたピエール=ラヴァルがいます」

レッサー「彼はパリが陥落し、ナチスに降伏をしその後も親ナチスの立場を取り続けました。『抵抗するよりも協力した方がフランスを守れる』という信念の元に」

レッサー「彼は戦後国家反逆罪で逮捕され死刑が確定。処刑当日に服毒自殺を謀るも阻止され、応急処置を受けてから銃殺刑となりました」
(※キリスト教では自殺すると死後の救済の対象にならない)

レッサー「ちなみに戦後のパリ市街は殆ど荒れておらず、ナチスに”協力的”だったのが証明されています」

レッサー「ラヴァルは現在国賊とされその名誉や功績を讃える動きが皆無である一方、ド・ゴールは救国の英雄として燦然たる輝きを持って誇張されつつ神格化しています」

レッサー「まぁ、何が言いたかったかと言えば”それ”がフランスです」

上条「……その元首相だってしたくてしたかった訳じゃないだろうに。つーか誰だってそうだろ」

レッサー「戦後ドイツ軍へ春を売っていた、まぁぶっちゃけパリ市民の代わりにボンジュールしていた女性達を『親ナチス的だ』と丸刈りにして晒したりしてますからねぇ」

レッサー「そして”これ”はフランスでは珍しい話でありません。植民地経営の最盛期にはどこの知識人も『有色人種は白人に教化されるべき』と訴えていました」
(※極めてごく少数の思想家を除く。そして政治に反映されるのは第二次世界大戦後のインドネシア独立戦争でフランスが負けた後)

レッサー「ド・ゴール主義もフランス主導で何かいい格好したいって気持ちも分かるんですが……実際について行ってる国ってあります?フランスが何かの国際機関でトップになってるのって?」

上条「ツール・ド・フラン○?」

レッサー「それ『Jリー○』と同じです。規模は桁違いですが」

レッサー「と、まぁ以上でド・ゴール主義並びに連中が抉らせてる中二病を”超簡単に”説明致しました」

レッサー「ちなみに私が語ったのはあくまでもフランスの一部分です。当然人格的にも能力的にも優れた人物は存在します。尊敬できる人間も多々いるでしょぅ」

レッサー「フランス人全体にアンケート取った訳でもなく、ただの個人の主観から出ている言葉ですので全て悪しからず」

上条「ありがとうございましたレッサーさん。またお前らへ対する疑念が深まりました」

レッサー「いいえとんでもないです!フランス野郎の意味もない高評価がこれでまた一つ失墜したと思えば全然!」

上条「お前らもだからね?日本人からすれば喋るモンスターと大差ないからね?」


-終-
(※盛っていません)

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