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Clock(trial)

佐天「『新春特番っ七大不思議探訪リッターンズ!コーポ・アステカに潜む悪霊!』

 
――常盤台喫茶

海原「――さ、どうぞどうぞ!ここは自分のオゴリですから遠慮なく」

上条「『――あ、もしもしインデックス?今な、知り合いがオゴリだって言ってるからダッシュで』」

ピッ

上条「何すんだよ。勝手に切んなよ」

海原「勝手に増やそうとしているのになんて言い草!?もしかしてお嫌いですか自分のこと?破産しますよね?」

上条「俺がどれだけバイトで稼いでも全てインデックスの食費に消えるんだが……?」

海原「餓鬼ですよね。生前に犯した罪の重さから、口に入る前に全て火に変るっていう苦行の」

上条「でも俺の稼ぎなんてたかが知れてるし、こういう機会にこそ少しでも多くカロリー摂取させてあげたいんだ!」

海原「すいませーん店員さーん!お会計の時にテイクアウトのホールケーキ、『ですの!』を一つお願いしまーす!」

常盤台風制服メイド「かしこまりましたー」

上条「てかまだ続いてたのか常盤台喫茶!常盤台から怒られっぞ!」

海原「大丈夫です!最近はリピーターも増えて支店も出そうかと検討しているそうです!」

上条「てかケーキの名前で『ですの?』って何?ジャッジメント風味のケーキ?」

海原「生クリームにココアパウダーで白黒の濃淡を付けたオリジナルケーキですが何か?」

上条「白井さんぶち切れ……は、しないか。普通に見て見ぬフリをしそう」

御坂妹「いらっしゃいませ、とミサカは注文されたケーキセットを置いて帰ります」

上条「お前何やってんの?つーか何やってんのお前?」

御坂妹「お客様困ります、とミサカは口では困るフリをしつつ、お持ち帰りも辞さないと決意しました」

上条「そういう店じゃねぇよ。あぁいやコンセプト自体は限りなく黒に近いグレーだが」

海原「……ね、凄いでしょう?自分が街でスカウトした逸材ですよ……!」

上条「お前消されるよ?白い人とオレンジの人と白なのか黒なのか分からない人から叱られるよ?」

御坂妹「待ってください、ミサカは別にどうでもいい会話に割り込みつつ、あの人の制服をちょこんと掴みます。てへ」

上条「お前もしっかり毒されてきてるよね?それでいいのかな?」

御坂妹「ミサカや他のミサカと話し合った結果、一つの真実へと達したのです、とミサカは驚愕の表情を浮かべます。くわっ」

上条「表情筋1ミリも動いてねーよ。そして姫神と芸風カブってる」

御坂妹「春の新作コスメを買って他のミサカと差を付けるのにもお金が必要なのですよ、とミサカは資本主義の愚かさを説きます」

上条「あ、オチよめたからもういいです。どうせ全ミサカが『あ、これいいな』って同じの買うんだ。きっとそう」

御坂妹「――以上、お喋りは5分1,000円になりますありがとうございました、とミサカは感謝の意を表します」

上条「金取んのかよ!?益々そっちの店じゃねぇか!?しかも高っけぇ!俺の時給を軽々と上回りやがって雇用条件を教えてください!」

海原「あなたがここに関わるとホンモノが紛れ込むので自重してください。こういうのはコッソリとやるのが楽しいんですよ」

上条「お前がビリビリにビリビリされるのも時間の問題だと思うんだが……それで?ホールケーキ二個で俺を呼んだ理由は?」

海原「レートがこっそり倍になっていますね?毒されてきてるのはあなたの影響が大だと思うのですが」

上条「他人のせいにしない!まずは自分で反省する!」

海原「ってマウント取ってくる人ほど大抵はソイツ自身に疚しいアレコレがあるんですよね」

上条「そもそも『”他人のせいにしない!”って言いつつ他人の中にだけ原因を求めてる』だけだからな。いや違うけど。疚しい所の欠片ぐらいしかないけど」

海原「まぁ上条さんの生活態度はさておくとしまして、ご相談がありまして」

上条「自首した方がいいと思うんだよ、うん」

海原「いえ、そういう話ではないです。てかまず犯罪関係だと思われているのが非常に心外です」

上条「お前が海原レザー(革)被って行動してる時点で大なり小なり法律に反してね?」

海原「いいじゃないですかその話は!」

上条「てかお前土御門に聞いたけど、悪い仕事もその顔だっていうじゃない!アンタそないなことして恥ずかしくないのんっ!?」

海原「あなたは自分のお母さんですか。いえ、自分も悪いとは思ってるのですが、これはある意味罰も兼ねていまして」

上条「へー罰?」

海原「はい、自分がこうして動いていれば卑劣な御坂さんのストーカーへの罰になるな、と!」

上条「うん、そうだね。お前の言うとおりだね。ストーカーよくないよね。あと店員さん鏡持ってきてー!この元ストーカーで組織裏切ったアホに今の姿見せてやってー!」

海原「まぁあのあとはなんだかんだありまして、『組織』は内部崩壊状態で気がかりだった妹達と一緒に暮らしています」

上条「フラグの神様に愛されてね?俺もどっちかっつーとイジられてる方だけど、海原エツァリ君も大概じゃね?」

海原「えぇはい、実は今日ご相談したのはその二人も絡む話なんですが」

上条「あぁ身分証明書的なアレ?参ったなー、そっち方面だったら浜面か一方通行ぐらいしか紹介できないぞ?」

海原「偽装か100%正しい身分証って開きがありすぎません?できればそれもほしいのですが……こちらをご覧ください」 ピッ

上条「もうこの前フリだけで大体検討ついちまうだろ……ッ!?」



――動画

佐天『み、見てくださいッ!さっき設置したぬいぐるみが――』

鳴護『え、えぇっ!?』

佐天『――微動だにしていません……ッ!!!』

鳴護『無理かなぁ。だってこの空気の中で動きようがないもの。幽霊さんがいたって「あ、これ何やってもダメに空気だ」って諦めるよね?』

佐天『あるぇ……?前評判は高かったんですけどね?』

鳴護『うん、だからね?ロケバス内でも散々注意したけど出ばやしだけはやめよう?総合格闘技の呼び出しみたいに、ノリッノリで呼ばれても出て来られないよね?』

鳴護『「ハイハイハイハイッ、ハーイとーじょー!ハイハイハイハイッ、ハーイ降臨!」で、どれだけメンタルの強い幽霊さんも出てこれないよ?だってスベるって分かるからね?』

佐天『そう、ですか?あたしだったら「よっしゃいっちょやったりますか!」って超テンション上がるんですけど!』

鳴護『自覚しよう?相手は一応こう未練を残して彷徨ってるって設定がさ、あるんだよ?』

佐天『はい、ムーブッムーブッムーブッムーブッムーブッ!!!』

鳴護『話を聞いてないな!?だからそういうトコがよくないんだよって言ってるのに!』

佐天『仕方がありません!ではCM中にあたしの微風改め念動力で!』

鳴護『うんっ良い考えだよね!でも落ち着いて考えようか!完全生放送だから全部筒抜けになってるからね!』

佐天『あ、じゃあパンツでも見ます?こんなこともあろうかと見せパンを装着してきたんで』

鳴護『いよいよ何の番組か分からないよね?これこの間さ、局の検索かけたんだけど”ジャンル;その他”になってたんだよ?』

鳴護『バラエティでもアイドルでもなくドキュメントでもなく、”その他”ってどういうこと?他に表現の仕様がないけど』

佐天『そういえばARISAさんには告知があるそうですけど』

鳴護『今かなっ!?タイミングが今でジャストかどうかってもっと悩むじゃないのかなぁっ!?』

鳴護『心霊スポットでひとりかくれんぼを敢行した挙げ句、予想通りに何も起きなくてグッダグダになってる今じゃなきゃダメ!?』

佐天『ニューシングル、”明後日は大雪”聞いてくださいね☆』

鳴護『なんて後ろ向きな名前!そして告知したかった曲名と全然違うよぉ!』

佐天『という訳で学園七大不思議探訪!年末特番ももう少しで終わりとなります!』

鳴護『……年末までしなきゃいけないかな?』

佐天『来年は年明け11日の放送ですね!題して!”コーポ・アステカ”に潜む霊!見てくださいねっ!』

鳴護『ちょっと待ってまだ告知してな――』

プツッ



――常盤台喫茶

上条「迷惑系ユーチューバ○の100倍ヒデェ!あんな空気作られて『ウオォォォ……!』みたいに出られる訳がない!」

上条「幽霊さんかわいそうだろ!?無茶振りさせられる芸人みたいに、あの空気の中出て来たってスベり倒すだけじゃねぇかよ!」

海原「多分あの賑やかしレベルで出て行けるのは貞○・伽耶○の日本最強クラスでなければ難しいかと……」

上条「あとARISAも可哀相だよぉ!なんでレッサ×ばりのヨゴレ仕事させられてんだ!?」

海原「あぁやっとその結論に達しましたね。去年一年間散々だったのですが、どなたかのツッコミの仕事が減った分だけ彼女に負担がですね」

上条「俺はARISAのアイドルとしての可能性を信じているぜ!」

海原(裏声)「『当麻君がまた裏切ったよう!』」

上条「微妙に似てるのがムカつくな。なんで知ってんだよ」

海原「同系列の番組で何度か聞きました。『あぁ本番中に堂々と上条さんの実名出して大丈夫?』と自分は思いましたが。スキャンダル的な意味で」

上条「もうネタに特化してると思われつつあるから、別に男性の影があっても騒がれないのな……不憫な子……ッ!」

海原「と、まぁ以上が前提と致しまして、ここからあなたにご相談が」

上条「いや相談されてもな。ARISAの事務所に『アイドルとして扱ってください』って抗議のメールでも送ればいいのか?」

海原「自分はARISAの方向性については興味ありません。問題なのは生放送で次回予告してしまったことです」

上条「年明けからな。なんだっけか、えーっとコーポ・アステカ?随分南米風の名前だよなー――ってまさか!?」

海原「……自分の、住んでいるアパートなんですよ。そこ」

上条「いやいや!?別に大した問題でもねぇよ!鍵閉めて『あぁ早く撮影終わらないかなー』って待ってればいいだけだろうが!」

海原「いえ、それがですね。本放送のここを見てください、動画の15分を過ぎた辺りで」 ピッ

上条「あー、どれどれ?佐天さんとアリサが廃墟へ入ろうとしてっけど……」

海原「次です、カメラのフレームが外側へ大きくブレたシーンです」 ピッ

上条「あ、これ!人影、だよな?」

海原「……えぇ」

上条「なんか喪服を着た屈強なオッサンかヤク×に見える……ッ!」

上条「――ってこれ闇咲だろ!?ガタイと常時喪中っぽい雰囲気で分かるわ!そこにいるだけで縁起悪そうなんだよ!」

上条「てか紹介したの俺だな!放送できない病みちゃんねる改め闇ちゃんねる繋がりで、『あぁじゃあ君ら組んだら?』って教えたわ!」

海原「こっちへボールを返そうともせずストレートな結論ありがとうございました。問題はそこなんです」

上条「お前ら面識あったっけ?それともヤク×のシノギ的なアレで、同業者は排除されっとか?」

海原「いえ、こちらにはそういうつもりは毛頭。ただちょっと『組織』に命じられてとある個人を暗殺しに来ただけですからね」

上条「ただちょっとってそんな使い方するっけか?もっとこう他愛もない修飾であってエゲツない意味だったかな?」

海原「……例えばですよ?あちらさんは魔術師じゃないですか、それも名の知れた」

上条「あー……これ今年も引っ張んの?てか有名なの?俺的には普通の魔術師枠なんだけど」

海原「有名ですよ。西の土御門家、東の闇咲家ってこちらの世界ではかなり。多分本家の方ではなく、分家の方だとは思いますが……」

上条「多分分家。許嫁も居なかったみたいだし」

海原「呪いをレジストさせる分野では日本屈指。かの土御門家よりも上だと人によっては評価していますね」

上条「じゃあ大したことなくね?」

海原「あなたはにゃーにゃーウルサイあのアホしか見てないからそういうんですよ!?あのアホも全盛期は『必要悪の教会の神童』と並んで麒麟児と呼ばれていたんですからね!?」

上条「なんで詳しいの?」

海原「普通カチコミかける先の相手は一通り調べるでしょう!?」

上条「いやでも闇咲ってお前と並んでそげぶ最短記録保持者だし、あんま強いってイメージは」

海原「大丈夫ですか上条さん?普通の魔術師は正面から堂々と乗り込んできたりはせず、普通は念入りに準備した上で襲撃。その時点で終わっていますからね?」

上条「てか『必要悪の〜』って俺知ってる人?――はっ!?まさかアンジェレネ師匠!?」

海原「その方は存じませんが、何度一緒にいたのを目撃していますよ。ステイル=マグヌスです」

上条「じゃ大したことなくね?俺の中では永遠の使いっ走りなんだけど」

海原「どうしよう。上条さんの物差しがぶっ壊れてる」

海原「じ、じゃあ逆に伺いますけど、『こいつは手強い!』って魔術師は?います、よね?一人ぐらい?」

上条「当り前だろ。アックアとフィアンマと前理事長」

海原「長編のボス級!?その業界で名を知られた魔術師以上に!?」

上条「まぁプロが言うんだったらそうなんだろ。へー凄かったんだな闇咲。それで?」

海原「……いや、凄かったんだな、ではなく。自分達の身の振り方をですね」

上条「撮影っつっても半日、長くて一日だろ?妹さん連れてスーパー銭湯かネトカフェでも籠ってたらいんじゃね?」

海原「……その間に強行突入されたらどうするんです?あのJCだったらノリとテンションでしてくるんですよ……!」

上条「見られて困る――のは、なくても、誰だって生活空間晒されれば嫌か」

上条「あぁそうだ。向こうだって一人でやってるんじゃないんだし、大家さんが撮影許可出さなければ」

海原「大家さんはちょっと頼りにならなくて」

上条「なんで?お年寄りなのか?あ、すっげーお人好しだとか?」

海原「いえ、失踪してますから」

上条「なんて?」

海原「あぁいえ完全に失踪されているのではないんですよ?たまに新規入居者の方がいらっしゃいますし、特殊清掃の立ち会いでも見たと妹が」

上条「……うん、ちょっと整理しようか。まず共通認識がどこまで合ってるのか、そしてお前らのSA○値がどこまで残っているのかを確認したい」

海原「はぁ」

上条「お前らの住んでるアパートって普通のアパートなんだよね?コーポ・アステカだっけ?」

海原「普通ですとも。敷金礼金保証人なしで駅から歩いて15分」

上条「いい物件じゃんか。あ、でも家賃高そうだな。条件だけ聞くとウィークリーマンションっぽい。月5万ぐらい?」

海原「でもないですよ、2,000円ですし」

上条「そっかー、じゃあ俺も引っ越したいかなー、部屋空いてる?」

海原「自分達以外に生きている方は一組だけですし、なんでしたらご紹介しましょうか?」

上条「あ、そう?じゃあお願いしよっかな――なんて言うかアホっ!?なんだその家賃!?カプセルホテルにでも住んでんのか!?」

海原「ですから月です。一ヶ月のお値段です」

上条「『もしかして;事故物件』」

海原「違いますよ!」

上条「だ、だよな?」

海原「そんなには亡くなっていません!」

上条「死んでんじゃねぇか。なんで一回否定した?否定する材料もないのに否定しやがってコラ!?」

上条「取材されるだけに値する立派な心霊物件だよ!腹括って有名になりやがれ!」

海原「本格的に困るんですってば!自分達にとって絶好の隠れ家なんですし!」

上条「有名になるのが嫌だっていうんだったら外せよ!なんだったら俺んち来てもいいから!」

海原「――ゲーテの短編だったはずですが、大雪の日に医者の元へ病人を診てくれという話があります」

上条「お、なんだコラ?マウントかテメー?ゲーテだったら俺だって読んだよ!アリサ連れに行く時参考資料としてな!」

海原「医者は近くの家の馬を借りて診察へ行かねばならないのに、看護婦は連れて行けない。しかもその家の男は医者の家に残る」

海原「医者は自分が『病人を助けるためにクソ寒い中出かけるのに、看護婦はにゃんにゃんされるんだろうなチクショウ』と毒吐きながら診察に向います」

上条「なんだそのアレな話。てか別に男女二人残してもエ×展開にはなんねぇだろ」

海原「――っていう所で終わるんですが、上条さんはどう思います?」
(※だった筈。小学生の頃読んだ話なのでウロ)

上条「つまり俺も善意のつもりがNTRワンチャンあるって思われてんですかコノヤロー?」

上条「言っておくが俺は紳士だからな!最近珍しいぐらいの!」

海原「えぇまぁ流石に上条さんがどうかするとは思っていませんが、下手に関わると妹二人が何かの大きな事件に巻き込まれやしないかと心配で……」

上条「絶対にないって言えないのが悲しいかな、うん。いや俺が悪いんじゃないけどもだ」

海原「ですので向こうの魔術師に気取られないつつ、かつ何事もなく取材を終わらせたいのです。切実に」

上条「取材先変えてもらうってのは?俺がそれとなく他のどこか誘導してみる」

海原「一回はそれでいいかもしれませんが、一度興味を持たれたので全く無くさせるのは厳しいかと。そして名前を出してしまった以上、ここで取材しなくなればそれはそれで」

上条「あー……『あのネタ番組がつい地雷踏み抜いたぞ!?』ってネットニュースに出そう」

海原「なので自分の理想と致しましては、取材を受けつつ何事もなく穏便に終わり、『あぁまた空振ってただの民家に吶喊したのか』がベストなんです」

上条「難しいのは闇咲か。事情を先に話しておくとか?」

海原「なんて説明するんですか。『ここは他の魔術師の縄張りだから大人しくしろ』とでも?」

上条「うん、ウチの能力者も大概だけど、魔術師は『そんな理由で!?』みたいにキレ出す事があるからな。何が地雷が分からない以上、下手は打ちたくない」

上条「……最悪、うん最悪の最悪は俺が闇咲へこっそり事情を話すとして――分かった、こうしよう!俺に任せてくれ!」

海原「おぉ!何か名案でも?」

上条「相手はプロの魔術師、そしてこっちにもプロの魔術師がいる!そう、お前だよ海原(皮被り)!」

海原「そうですね!その呼び方は引っかかりますし二度と呼ばないでください!」

上条「目には目を、歯には歯をってことわざがある!でもってあっちには魔術師は魔術師でも番組って縛りがある!つまり――」

上条「――テレビには出しちゃいけない人を出せばいいんだ……ッ!!!」

海原「魔術師どこ行った?」

上条「任せてくれ!正月だからオールスターでお送りするぜ!」

海原「正月関係ないですよね?割りといつも楽しい仲間達が時間も国境も越えてコントしてますもんね?」

上条「いつまでも俺が大人しくしてると思うな!人気投票第三位の力見せてやるぜ……ッ!」

海原「私怨ですよね?確か暫定順位で抜かれたからって恨み辛みですよね?しかもあれ去年の話ですらなく二年前ですよ?」

上条「俺にはツンツン頭と主人公ぐらいしか属性ないのに、あの子は男性が望む全てを持っている……ッ!」

海原「充分ですよね?その属性持ってるのって上条さんと御坂さんとそのお友達と一方通行と一方通行しかいませんよね?」
(※とある科学の一方通行ととある偶像の一方通行さまで二回カウント)

上条「今こそ分からせる時が来た!」

海原「正しい意味手合いで、ですよね?特定の狭い業界での分からせとはまた別なんですよね?信じていますよ?」

上条「そして闇咲……!お前には俺の部屋をメッチャクチャにしてくれた恨みが……!」

海原「大丈夫ですか?『属性;主人公』ってアドバンテージが失われつつありませんか?」

上条「お前に分かるか……ッ!?遠出して人助けして帰ってきたら、その相手がノリでやった襲撃で部屋の家具から教科書まで全滅してた俺の気持ちが!」

上条「完璧なまでに宿題を仕上げていたのに小萌先生へ出せなかった俺の無念が!」

海原「捏造していません?それ多分自分とやりあった前後だと思いますけど、宿題必死でしたよね?」



――収録当日

佐天「『――アァイッ!それではARISAさんから告知があるそうなんですが!』」

鳴護「『タイミングが極端過ぎるよぉ!?オープニングトーク始まって0秒で!?まるであたしが空気読めない人みたいに!』」

佐天「『いいですかARISAさん?あたしは空気を読まないのではなく、読めないんです。全然違いますからね?』」

鳴護「『レッサー、ちゃん?あなたもしかしてレッサーちゃんの生き別れの、姉妹……ッ!?』」

佐天「『あ−、御坂さんから聞いた事あります。”テンションのスイッチがオンしかない人”だとか』」

鳴護「『それ本当にスイッチの意味あるかな?だって常に入りっぱってことでしょ?オフに出来ないんだからスイッチがお仕事してないよね?』」

佐天「『――はい、っていう訳で始まりましたよ”学園七大不思議探訪!”このまま打ち切りになるのかとヒヤヒヤしましたが!』」

鳴護「『いや違う結構やったよ去年も?ただヤク○もといヤク○っぽい人の回が局の判断で完全にお蔵入りになっただけで』」

佐天「『なお”今回のはマジでちょっと危ない”そうなので、画面の外でスタンバっててもらいます』」

鳴護「『あれそんなトコ行くの?聞いてないんだけど……』」

佐天「『リスクが高くなければリターンも低い!心霊系あるあるですよねっ!』」

鳴護「『あの、業界的にはアレなんだけどその理屈だと心霊系タレントさんが歳の順にヤラれちゃってないとおかしいような……?』」

佐天「『向こうは作りかヤラセですよ!こっちはもう不法侵入上等なんで何度も局が警備委員の方に呼び出されています!』」

鳴護「『いやそーゆー心配じゃなくてね?もし仮に万が一幽霊さん的なものが居たら、あたし達が祟られちゃったりしないかなー、なんて』」

佐天「『そのためのプロですよ!?お祓いする回を特番にして二度オイシイじゃないですかっ!』」

鳴護「『涙子ちゃん、レッサーちゃんに憑依されてる?そのぐらいのこと楽々やりそうだよね』」

佐天「『はい、ここで専門家の一言を』」

闇咲「『心霊スポットには近寄らない、怪談はしないし聞かない、近くの社には年一で参拝に行く。これだけで大概の霊的トラブルは避けられる』」

鳴護「『真逆、ですよね?番組開始してから全部地雷を踏み抜きつつダッシュしてますもんね?』」

闇咲「『”何なら番組がなくても一人でも行く”と豪語している相手へ対し、”せめて危険な場所だけは私を連れて行け”と交渉するのが精一杯だった』」

鳴護「『お疲れさまですっ!そして局の上層部が打ち切れない理由を知った気がしましたっ!』」

佐天「『まぁそんな訳で今日もアポなし突撃心霊スポットですが!本日の舞台はこちらだっ!モルサァ!』」

鳴護「『そこは”ドン!”でよくないかな?そんなハイテンションなファービ○はじめて聞いたけど』」

鳴護「『えーっと、見た感じは普通のアパート、だよね?今までもそうだったけど、てゆうか心霊現象が起きた試しはないんだけど』」

鳴護「『画面に見切れた闇咲さんが”あれ誰だ喪服を着た幽霊!?”って一部パニックになりかけたけど、そのぐらいだよね?』」

佐天「『いやーあれはちょっとした事件でしたよね。”これで本当に心霊チャンネルって堂々と名乗れるねオメ!”って書き込みが多数で』」

鳴護「『ファンの人も楽しみかた間違ってないかな?まぁ今までの過去の行いからすれば当然なんだけど』」

佐天「『おわかりでしょうか……ッ!不気味な風が吹いて来ました、ぬんっ!』」 フワッ

鳴護「『うん、来てるね。主に涙子ちゃんの方向から、もっと具体的には両手を合わせた場所からピンポイントでそよ風が』」

佐天「(次はアリサさんの能力でボケて)」

鳴護「『無理だよぅ!?どんな立派な能力でもスベり必至じゃない!?』」

闇咲「『断魔の弦・出力最小』」 ブワッ

佐天「『ね……ッ!?』」

鳴護「『涙子ちゃんはこの世界の生きとし生けるもの全てに甘やかされてないかな?大体のものにケンカ売ってるレッサーちゃんと大きな違いだけど』」

佐天「『という訳でやった来ましたコーポ・アステカ!アステカ風味が全く感じられませんが、てゆうかネーミングセンスに難がありますが!』」

鳴護「『まぁそれはあたしも思ったけど。普通のアパートだよね、外見古めだけどお掃除されてて清潔感はある』」

ペーペペーペーペペペー

佐天「『あたし達がその廃屋へ足を踏み入れようとした瞬間、物悲しい旋律がどこからともなく聞こえてたキターーーッ!?これは霊界からメッセージなのかそれとも!?』」

鳴護「『取り敢えず落ち着こう?結構な異常現象なのに、テンションが高すぎてプロレスの実況みたいになっちやってるから』」

ペーペペ、ペーペペー、ペペペペー

鳴護「『……や、でもホントに謎だよね。アルトリコーダーでこの曲は……とうりゃんせ、だね』」

佐天「『天神ーさまーの−、細道じゃー♪』」

鳴護「『いや違う違う違う違う。曲に合わせて歌う場面では決して、ない』」

佐天・姫神「『行きはよいよい、帰りはこわいー、こわいながらも−、とーおーりゃんせー、とーりゃんせー……』」

佐天・姫神「……」

佐天・姫神「『……やる……ッ!』」 ザッ

鳴護「『当麻君はどこ!?ボケが多すぎる上にジャンルがあっちこっちに飛ぶからあたしじゃ対処しきれない!』」

姫神「去年の合宿の成果が出ている?」

鳴護「『不本意ながらね!あの無茶振りの数々がなければ今頃途方に暮れていたけど!そして別にあっても途方だけども!』」

鳴護「『てゆうか、あの、あなたは秋沙さん?』」

姫神「見ての通り姫神です」

鳴護「『うん、それが分からなかったら聞いたんだよ?巫女服着てアルトリコーダー装備してとうりゃんせってどういうギミック?』」

姫神「横笛も吹けるは吹ける。村祭りでは巫女さんをやっていた。でもこっちには持ってこなかった。残念」

鳴護「『うん、だからそうじゃなくてね。いやまぁ横笛で来られても謎は謎なんだけど』」

姫神「『――引き返すがいい。ここは呪われた地。何人たりとも足を踏み入れるには能わず』」

鳴護「コーポ・アステカに?建物建ってるんだから無事に施工業者さんは終わったんだよね?」

佐天「『くっ!この”圧”、まともな人間では耐えられない……ッ!』」

鳴護「どういう設定?だからここヒト住んでるよね?全部じゃないけど、お洗濯物が干してあるもんね?」

姫神「『警告はした。あとは全てあなた方の責任――ただ。一つ。言い忘れたことがあれば』」

鳴護「ば?」

姫神「『今年のM-1はスケージュールをあけておいてほしい』」

鳴護「今かな?今それ言うべきことかな?後でいいよね?Lin○交換したんだからあとでコッソリ言ってくれればそれで充分だよね?」

佐天「『こうして、我々取材班は謎の巫女に導かれるままその足を進めるのであった……ッ!!!』」

鳴護「『あれ心霊番組ってこんなテンションだっけ?それ昔懐かしい川口○探検隊か藤岡弘○探検隊のノリだよね?』」



――

佐天「『――さて!謎の巫女さんの遭遇からそんなに時間は経ってないわけですが!』」

鳴護「あの、ノドに来るのでそろそろ涙子ちゃんも不必要に声張るのはやめた方が……そして民家だからあまりこう、ねっ?」

佐天「では若干抑え気味で!ファイッ!」

鳴護「ご近所迷惑だよ?」

佐天「いや別に?今住んでる場所も最初はそう言われましたけど、今じゃ全員お友達に」

鳴護「なんて羨ましいコミュ力!あたしも無理してる分だけほしいよねっ!」

佐天「これからどうしましょうか?一部屋一部屋探っていったものか、それとも手分けするとか」

鳴護「手分けも何もないよね?どこで喋っても声が聞こえるぐらいの、えっと、コンパクトな敷地内だし」

佐天「気合い入れれば二階から一階に飛び降りても怪我しないレベルですもんね」

ガタンッ

鳴護「あ、お住まいになっている方ですか?すいせんが、少しお話を」

青ピ「オゥオゥ誰に断ってここでロケしとんねんゴラアッ!結婚してくれや!」

鳴護「様々な意味で恐怖!?たった一行の間に名状しがたい不安を感じる!?」

青ピ「アンタらここがどこか分かってんのかい!?取り敢えずライ○教えてぇな!」

鳴護「――うん、整理しよっか?まず誰も何も事態を把握してないと思うから」

青ピ「おう!取り敢えずサインください!」

鳴護「あ、じゃあ涙子ちゃんが書いてる間に質問があるんだけど。えっと、あなたはどうしてここへ?」

青ピ「ダチに頼まれたんよ。ふっ、他に理由はいらへんでっしゃろ?」

鳴護「……ちなみになんて?」

青ピ「『ロケ班をビビらせよぉ』ってな!」

鳴護「いやあの、ね?怖いのは怖いんだよ?体も大っきいし細目が笑ってないし、なんといってもちょっと寒気がするんだけど」

鳴護「でもそれ違うよね?幽霊さんの怖さじゃなくて別物の人間の怖さだよね?」

青ピ「――ARISAはん、好きなものはバイキングなのは知っとぉ。ケーキと焼肉どっちも好きやし、どっちか食ぉたらもう一つが食べられへん、って」

鳴護「ま、まぁ分からなくはないですけど。それがなにか?」

青ピ「やったらケーキと焼肉をトッピングすればええやん……ッ!?」

鳴護「ちょっと何言ってるのか分からないですね」

青ピ「やから!心霊アパート、これ単体でも怖いですやん!?」

鳴護「ここがその定義に当て嵌まる要素ないですけど、まぁそうですね」

青ピ「そしてヤク○も怖い!なんやって反社やさかい!」

鳴護「まぁ、はい。怖いですよね。ブラックな企業と並んで」

青ピ「その怖いモン同士を掛け合わせれば!これで怖さも二乗やねんよ……ッ!!!」

鳴護「当麻君のお友達はアレな人しかいないのかな?いやまぁあたしもアレだけど!」

佐天「あ、じゃあこれサインと番組のグッズなんで、もらったらしばらく離れてて下さいね。ロケやってますんで」

青ピ「おおきに!まいどっ!」

鳴護「なんて手慣れた対応!?」

佐天「意外とヤンチャな人多いですからねー、まぁ流れ作業的にハケるのが一番効率的だと分かりましたが」

青ピ「いやでもボクも残る!レギュラーとして出演枠を」

闇咲「――すまない。こちらへ来て貰えるだろうか?」

青ピ「――じゃっ!そういうことで!仕事はきちんと果たしたさかいおおきにっ!」 ダッ

佐天「そして最終的にモノを言うのが、コワモテと権力と資本」

鳴護「闇咲さんは……果たしてネタ番組にお呼びしていいものなんでしょうか……?具体的には放送コード」

佐天「よくある『人をヤってそう』じゃなくて『何人かヤってる』って人だからね――だがしかぁし!」

佐天「たまにコソコソ携帯で奥さんと喋ってるときは割りと可愛いとの情報が!」

鳴護「やめてあげて!?その情報を聞いた後だと家庭を大事にする不器用な人にしか見えないよ!?」



――

佐天「『我々は謎の原住民の襲撃を辛くも退け、再び危険な奥ジャングルへ足を踏み入れるのだった……ッ!』」

鳴護「ごく普通のアパートでワイワイ騒いでるだけだよね?ただの住人イジりでここまで引っ張るのって世界でこの番組だけだよ?」

佐天「ガキ○が過去最低のつまらなさだったので、あたしが日本のエンタメ業界を引っ張らねば……!」

鳴護「大丈夫じゃないかな?一介の女子中学生が頭を悩ませることないと思うよ?」

佐天「あ、いいこと考えた!大みそかもお正月もアニメ流せばいいんだ!」

鳴護「それだと一本数百万のギャラ泥棒さんがお亡くなりに……そして多分本当にそれをやったら表も裏もあたし達が総取りになっちゃうからそのぐらいで」

佐天「最終的にまたゴールデンにアニメが流れる番組編成になったりしてねぇ。いやマジで」

鳴護「それはそれで粗製濫造で誰かが喜びそう」

佐天「あぁそういうときは『ヤシガニヤシガニ』っていうと逃げていくそうですよ?」

鳴護「誰がなのかな?あんな出来でも当時のファンは歯を食いしばって見たってことは忘れないでね?」

佐天「まぁ懐古アニメはさておくとしまして。どうしましょうね、やや膠着状態に陥ってる感がするんですけど」

鳴護「最初からずっとそうだよ?どん詰まりになってるのがデフォのまま騙し騙しやってるからね?」

佐天「あ、じゃああたしがランダムでチャイム押すから引っかかった人から突撃取材を」

鳴護「ちょっとしたテロだよね?住んでるところを生放送で晒された挙げ句にイジられるんだよね?」

佐天「すいませーん」 ピンポーン

鳴護「話を聞いて!?せめて少しは躊躇おうよ!?訴訟費用とか裁判になったらとかそういうの!」

土御門『――どうぞー』

佐天「アッハイ、しゃーすっ」 ガチャッ

鳴護「入るの!?放送事故の可能性もままあるの、に……?」

土御門「……」

佐天「なんか殺風景な、てか真っ白な部屋だよね。会議室みたいな」

土御門「――ノックなし、と。減点1」 カキカキ

鳴護「……はい?」

土御門「あぁどうぞどうぞおかけ下さい」

鳴護「はぁ、どうも……?」

土御門「えぇとお名前はなんと?」

佐天「江戸川コナ○です」

鳴護「大嘘を!?誰が見たって分かるレベルの嘘!隠す気がない!」

土御門「はい、では江戸川さんに質問です。あなたが当社を希望した動機をお答え下さい」

鳴護「あれ就職面接?あの、すいません、あたしたちそういうんじゃないんですけど」

土御門「はい試験官に意見。減点一と」

鳴護「いやだからね!?」

土御門「そのどピンクの髪はご自分で染めたのですか?」

鳴護「ウルッサイな!?生まれつきっていうか多分お姉ちゃん(※シャットアウラ)の中の深層心理かなんかだよ!?」

土御門「煽り耐性ゼロ、と。減点一」

鳴護「えーっとルールをせめて教えてほしいんですが……」

佐天「あたしがあなた達を選んだのではなく、あなた達があたしを選ぶんです……ッ!」

鳴護「どんな入社試験でも一発でバッテンつけられるよね?」

土御門「――その言葉がほしかった!採用!」

鳴護「ここはどんな声優事務所なのかな?押しの強さと度胸の強さと、あとぶっちゃけ外見で一発合格した誰を想定してるの?」

鳴護「て、ゆうかねっ!?さっきから繰り広げられているこのコントはなんだって話でねっ!?」

土御門「ふっふっふっふ……!俺は第三の刺客!”なんか怖い”姫神、そして”ヤクザ的な意味で怖い”青ピに底辺高から召喚された男!」

鳴護「当麻君だよね?当麻君の謎の人脈からサモンされてる人ですよね?」

土御門「俺が司る恐怖、それは――」

土御門「――世界で二番目に怖いと言われる圧迫面接……ッ!!!」
(※個人の意見です)

鳴護「うん、それはもういいから責任者呼んで来て貰えるかな?具体的には”上”で始まって”麻”で終わる高校生」

佐天「ちなみに一番怖いのは?」

土御門「アメリカのITバブル真っ盛り時に”リストラされるリーマンの最後の仕事が自分の後任に仕事を教える”……!」
(※ていう自虐ギャグがちょっと流行った)

鳴護「大丈夫かな?それで心当たりがあるよって人は心に闇を抱えてしまってるって事だよね?」

土御門「誇るがいいぜぃ!お前たちはこの俺の恐怖に打ち克った!残るはたった二つ!」

土御門「だがどちらも俺以上の猛者が控え、て……」

鳴護「はい?」

闇咲「『――もしもし、土御門か?』」

土御門「いや違うんだ闇咲!早まるんじゃない!つーか実家に直でチクるのだけはやめてくださいお願いしますっ!」

佐天「意外にコミュ広いんですよね。そっち系なのに」

鳴護「まぁある意味魔術師さんは究極のサービス業と言っても……過言だけど。どう考えてもおかしいけども」



――

佐天「『謎の部族の通過儀礼をとっさの機転により突破した我々は、ここをキャンプ地とするのだった……ッ!』」

鳴護「もう、ダメじゃないかな?秋沙ちゃんが出て来た時点で『あ、これ今日の収録はギャグ多めだな』って確変決定してるよね?」

鳴護「てゆうかなんであたしがレギュラーになってるの!?『特番だけだから!一回だけだから!』って言われてからもう三回は出てるし!?」

佐天「まーまー落ち着いてください。お腹が空いているから怒りっぽくなってるんです。まぁファミキ○でも食べて」

鳴護「も、もらうけど!誤魔化されなんしないんだから、あ、美味しいねこれ!新味かなっ?」

佐天「番組の方へご意見・ご不満があるようですが、この番組で一番かかっている経費はおやつ代と打ち上げと称したファミレス代です」

鳴護「け、契約のウチだから!プロとして当然の対価をもらってるだけだから!」

佐天「いまだにタクシーチケットが出ず!タレントさんはマネージャーさんが送り迎えするのに、あたしはスタッフさんの仕事が一段落するまで帰れません!」

鳴護「い、一緒に帰ろう?今日からね?」

佐天「あざっす!つまりレギュラーになるってことですね本当にありがとうございましたっ!」

鳴護「あれ?返答をミスった?」

佐天「まぁいざって時はそちらのコンサートにあたしが行きますから!」

鳴護「それ来たいだけだよね?涙子ちゃんが特に意味はないけど出たいだけだよね?」

佐天「なんでしたらMC――あれ?」

鳴護「それぐらいだったら是非、ってあれって何?幽霊でも見ちゃった?」

佐天「アリサ−、うしろうしろー」

鳴護「この流れで幽霊さん出ちゃってもスベリ必然だと思うけど……?」 クルッ

アニェーゼ・アンジェレネ「……」 ジーッ

鳴護「いやなんでシスター二人!?脈絡がなくて逆に怖いよ当麻君の仕込み!?」

アンジェレネ「お、おねえちゃん。ひも、ひもじいよぉ、お腹がすきましたよぉ」

アニェーゼ「何言ってんですか妹よ。お昼はさっき食べたでしょう?」

アンジェレネ「しょ、食パン一枚だけじゃないですかぁ……た、たりませんよぉ……!」

アニェーゼ「いいですかー?ママからもらったお昼代は一週間で100円、八枚切りの食パンで充分じゃないですかい」

アンジェレネ「で、でもっ!お、おねえちゃんは何も食べてないじゃないですかぁ!」

アニェーゼ「あぁ私はいいんですわ。そんなに胃が大きい方じゃねぇですからね」

アンジェレネ「け、けどですねぇ……!」

アニェーゼ「私が今まで嘘を言ったことがあるっていうんですか?」

アンジェレネ「な、ないけど……」

アニェーゼ「じゃあ信じてくださいな。あなたのおねーちゃんを」

アンジェレネ「う、うん……」

佐天「すいません上条さん、ギブアップしたいです。怖いは怖いですけど、怖さの方向性がリアルすぎて腹に来ます」

鳴護「当麻君!怒ってないからいい加減出て来てくれないかなっ!?いや怒ってないし怒るつもりもないけど!あんまりだよこれ!」

鳴護「不安定になるよ!?世界には貧しい子供たちが大勢いるんだよなって今更思い出して不安定なるからねっ!?」

鳴護「もう食べていいよ!ロケ弁もお菓子も全部あげるから!あたし達はお腹一杯だから!」

佐天「待ってくださいARISAさん!これはあくまでも演技であって上条さんの妨害工作の一つだと思われます!」

アニェーゼ「ちなみにこの程度のヌルゲーで虐待になりません。ストリートチルドレンになってからが本番です」

アンジェレネ「わ、わたしは比較的早く保護されましたけど、し、シスター・アニェーゼは大変だったようですしね」

佐天「説得力がありすぎて何も言えない……!あ、でも闇咲さんだったら!」

闇咲「『――もしもし?あぁ、そのな、養子をだな。人種は違うのだが、10歳ぐらいの』」

佐天「やめてください!?ヤク○との養子縁組だなんてあんまりですよ!?」

鳴護「涙子ちゃん口が過ぎるよ?誰かさんが”一人巡洋艦”なら闇咲さんは”一人アパッチ・ロングボウ”だけど」
(※「見たら死ぬ」の戦闘ヘリコプターの後継機。歩兵と戦車と砲撃隊の死神)

アニェーゼ「取り敢えず食料ありがとうございました。出来れば現ナマの方が他の子たちも喜ぶんですが」

アンジェレネ「だ、だめですよぉ!か、かさばるものじゃないと寮監(ルチア)に見つかっちゃいますけど!さ、催促だなんて!」

闇咲「ATMから降ろしてくるっ!」 ダッ

鳴護「同情するのがおこがましいぐらい逞しいよね。てゆうか謎の人脈だし、闇咲さんがどっか行っちゃったら霊的にマズいような……」

佐天「あ、大丈夫ですよ。今まで心霊現象は仕込みとヤラセ以外で起きたことないですし」

鳴護「それは一括りで『何も起きたことはないです』って言っていいと思うな?むしろそれ以外に表現の仕様がないよね?」

チーン、ポクポクポクポク

???『……ぶっせつまーかーはんにゃーはーらーみーたー』

佐天「キターーーーーーーーーーーーーーー(`・ω・´)ーーーーーーーーーーーーーーッっ!?よっしゃかかって来い心霊現象!」

鳴護「だからギアの入れ方を間違ってるんだってば!?こういうのはまずワンクッション置いた上で『な、何か聞こえてる……?』ってやりとりして溜めないと!」

佐天「悠長にしてたら逃げられますって!基本自己主張がエッラい強い割りにいざとなったらビビる童×メンタルなんだよっ!?」

鳴護「それはどっちにも失礼、かな。うん。ミニ四○とBB戦○を同列視してるようなもんでね」

佐天「すいませーん、お邪魔しまーす」 ガチャッ

鳴護「主人公よりも即断即決!?訴訟を起こされるリスクも顧みて!」

チーン、ポクポクポクポク

僧正(???)『かんじーざーいーぼーさーつー、ぎょーじんはんにゃーはーらーみーたーじー』

佐天「ここへ来て本物が!?」

鳴護「すいません、絵がシュール過ぎます。ミイラのおじいさんが念仏を唱えられても、堂々と出て来てるから怖さの欠片もないです……ッ!」

僧正『あ、すまん。ワシここまでしか知らんのじゃった』

鳴護「そんな格好してるのに!?回転説法とかマハン○とか連射しそうな外見で!?」

僧正『や、誤解されるんじゃけども必ずしも般若心経は全ての仏教の真髄っちゅー訳でもないんじゃよね。いや大事は大事じゃけど」

鳴護「お坊さん取りに行きましたよね?わざわざ陸路でインドまで」

僧正『まぁそうなんじゃけどね。つーか般若心経もその一部なんじゃけど――も』

僧正『玄奘が持ち帰った仏典は全600巻の”大般若波羅蜜多経”であって、般若心経はその中から300文字抜き出した説?』
(※諸説あり。全然関係なかったり別の仏典だったりとややカオス)

鳴護「またえっらい端折り方しましたね!?」

僧正『ワシの宗派だと”300文字唱えても有り難みあるか?”っちゅー論争があって』

鳴護「あぁまぁ、そう、ですよね?300文字ぐらいだったら手紙か何かで伝えられますもんね」

僧正『まぁでもなんだかんだで1,500年ぐらいの古いもんじゃし、効力はあるはずじゃね!もしも事故物件に出くわしたらレッツ・トライ☆』

鳴護「アドバイスありがとうございます……?」

佐天「『――はい、っていうわけでそろそろ時間が来てしまいましたが!本日も草原の風をお茶の間へお届けできたと思います!』」

鳴護「湿気がない乾いた笑いって意味だよね?その位置づけでいいの?後悔しないの?」

佐天「『本日のゲストは、”生ける即身仏”さんでした!』」

僧正『悪くないのぉ。できれば出番をトリじゃなくて最初の方が良かったんじゃが』

佐天「『あー、そうですねー。途中から時間が無くなって巻きに入ってましたからね、反省しなきゃです』」

鳴護「心霊現象だよ!?あたしもパニクって普通に会話してたけど!?」

佐天「『ではまたいつか特番でお会いしましょー!合い言葉は――』」

佐天「『――レッツ・ヤシガニ☆』」

鳴護「ここまで来てオカルト関係ないな!?」

僧正『まぁ怖いって意味じゃ怖いのではないかのぉ?』

鳴護「もっとあなたは非現実的に現れてくださいよ!?冷静に突っ込むんじゃなくて!」



――海原が勝手に借りてる部屋 収録後

海原「いやー、お見事です上条さん」

上条「――海原、正座」

海原「はい?なんで自分が?」

上条「あー手が滑っちゃうかなー、そこら辺にあるもの手当たり次第そげぶしちゃおうかなー」

海原「やめてくださいよ!?自分がどれだけの苦労をして集めたと思ってるんですか!?」

上条「だから正座、とっとと正座」

海原「……しますけど。なんなんですか、本当に」

上条「うん、まぁ、なんだ。その、頼まれたからやった仕事は後悔していない。これでまたここは『あ、こないだお笑いのセットで使われたとこだ』ぐらいの認識になったと思う」

海原「はい、感謝していますよ。お礼はファミレスの打ち上げ費用を全負担で」

上条「あぁそれは別にこっちも好きでやったことだし、全員で割り勘ぐらいでいいんだけど……お前さ、最初にここが心霊スポットみたいになりつつある、みたいなこといってなかったっけ?」

海原「ですね。何が原因かは分からないのですが、このまま誰も管理しないと立派なものに育ちそうです」

上条「成程な。それで海原(皮)さんに聞きたいんだけども、この部屋ってなんの部屋?」

海原「長い間空き室でしたので、自分が勝手に霊装を置かせてもらっています。あ、勿論大家さんと連絡がつけばその間の代金はお支払いするつもりですよ」

上条「月2,000円だもんな。俺も正直憧れなくもないが――で、この洗濯物みたいに部屋干ししてある、黄ばんだ郵便葉書みたいなのも霊装?」

海原「あ、はい。人の皮です。汚くはないですよ?」

上条「……へー、ちなみにどんな効果が?」

海原「上条さんもご存じではないですか。自分が誰かに擬態するために使います」

上条「…………何人ヤッた?」

海原「いや殆ど殺してませんって!一部の人でなしを除いては人道的な配慮から生きたまま剥がしましたから!」

上条「そっか、人道的、うん人道的なー……なぁエツァリさんよ、俺思ったんだけど」

海原「海原光貴です」

上条「――この皮の持ち主だったり元の持ち主がだ?祟りかなんかで心霊現象起こしてんじゃねぇのか……?」

海原「………………盲点でしたね……ッ!」

上条「やかましいわコラ!?つーかお前ホントは反省もクソもしてねぇだろボケ!?」

海原「いやでも悪い事には使っていませんから!自分のこの曇りなきマナコを見てください!」

上条「借りもんだろうが!前は色自体が違ってただろ!」

上条「とにかく捨ててきなさい!もしくはお焚上(たきあ)げしてあの世へ送りなさい!縁起悪いんだから!」

海原「いや前にも言いましたが自分たちでは普通なんですよ!むしろ死者の有効利用って感じで!」

上条「……」

海原「い、いや無言で何拳振り上げてんですか!?仮にもこれは自分の商売道具でしてやめてくだあーーーーーーーーーーーっ!?」

パキイィンッン……!!!


-終-

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